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» 2009年09月17日 00時00分 公開

一筋縄では行かないエンデュランス第7回 全日本学生フォーミュラ大会 レポート(1)(2/3 ページ)

[小林由美,MONOist]

3日目のエンデュランスにて

 本大会で一番配点が高い「エンデュランス・燃費」審査(以下、エンデュランスとする)の走行が始まった13日は朝からよく晴れ、日差しが非常に強かった。「こんな日には、車両が走行しようというとき、異常に温度が上がることでエンジン始動がしづらくなる、あるいはオーバーヒートになるといった事態が起こる可能性もあります」 と場内のアナウンスが告げた。

 鋭い日差しが照りつける3日目午前中、エンデュランスで戦った国士舘大学と岡山大学の2校を紹介する。

エンデュランス出走待ち

もう失敗は許されない! 常連校の意地――国士舘大学

 国士舘大学は、1998年に始まった「車両開発プロジェクト」から参加し続ける学生フォーミュラ大会の常連校だ。昨年のレポートでもお伝えしたとおり、昨年の国士舘大学はあまり結果が振るわなかったうえ、最終日のエンデュランスで火災を起こしてしまった。

「燃料パイプを固定する部分が緩んで走行中に外れてしまいました。そしてそのまま動いている状態で燃料噴射したような状況です。車検でボルトの緩みをチェックしていたのですが、やはりチーム人数が少ないということもあり、最終チェックの段階で細かい部分の見逃しが起きてしまったのだと思います。5月に参加したアメリカ大会でも接触不良でエンジンが掛からなくなってしまって、エンデュランスを完走できなかったという苦い思い出があるのですが、また同じ失敗をしてしまいました。次の大会ではもう一度考え直して臨もうと思います」(国士舘大学 チームリーダー 小田博之さん)

    ――車両火災が!……でも実証された安全性

 同校は心機一転の思いで今大会に臨んだ。もう同じ失敗は許されない……。

 今年の同校は3日目午前中のエンデュランスとなり、無事故で無事完走。場内アナウンスは「慎重な走行です」と繰り返し伝えていた。国士舘大学のメンバーにその裏の気持ちをきけば、「次のドライバに、確実につなぐことばかりを考えていました……」という。無事完走したものの、その背後ではいろいろあったようだ。

国士舘大学の車両(No.13)

 「アクセル抜いても、バババーッとパワーが落ちないまま行ってしまうんです……。スラロームでも、アクセルをバンバンバンと踏んでいきたいけど、一度踏むとそのままグワワーッと行っちゃいそうで怖くて……。慎重というか、もうあれ以上は踏めないって感じです。もっと行きたいけど、アクセルを抜きたいときに、ぜんぜん抜けない。ブレーキのタイミングが難しかったです」(千葉 康智さん)。このようなアクセルまわりの不具合のほか、今回はシフトにも問題があって、うまくシフトチェンジができなかったという……。

 国士舘大学は、今年の代でメンバーがほぼ総入れ替えとなったとのことだ(昨年は上級生が多かった)。そういう意味でも、心機一転。前リーダー 小田さんの想いをしっかりと受け継いだチームリーダーの千葉さんは、燃料モレの対策について、このように説明してくれた。

 「昨年は、燃料パイプを固定するステーで、アルミに雌ねじを切っていたんですよ。だけど、そのネジの山が潰れてしまったことで緩み、燃料漏れにつながりました。今回は、まずそれをやめました。雌ねじ部を穴にして、ボルトとナットで締めるようにしました。ロックナットを使って、しっかりと、緩まないように。ボルトだとどれだけ締まっているか、目視確認できる点もいいですね」(千葉さん)

国士舘車両の後部:火の悪夢の原因は絶った

 このお陰で、大会中にあの“火の悪夢”が再発することはなかった。

 ターボチャージャーやウェストゲートバルブは相変わらず健在。今回は特別な新機能の追加はなく、車両をよりコンパクトにしつつ、全体的に軽量化していくことを重視したという。また今回は、これまで溶接だった部分について、FSW(摩擦各藩接合)を一部で取り入れた。溶接のように人による熟練度が仕上がりに左右しない、熱ひずみが起こらない、接合部もきれい、金属を盛らない分、重量面でも有利になるなど利点がいっぱいだ。

 同校はエンデュランスを無事完走できたもの、総合第14位。今回も全体的に得点数が振るわなかった。「まだまだ車両の熟成が足りません。今年の時点で、課題点が具体的にリストアップできているので、まずはそこをつぶしていきます。それから、チーム全体の底上げをしていきたいです」(千葉さん)。かつて総合第3位以内入賞の常連だったときの勢いを取り戻せ!

国士舘大学 左が大比良 優介さん。右が千葉 康智さん
関連リンク:
国士舘大学 K-Racing

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