富士ゼロックス 生産本部 商品システム生産準備部 生産準備プロセス改革グループのグループ長を務める野村 浩氏氏が登壇、「富士ゼロックスデジタルワークウェイ(FXDWW)」による全社規模での開発プロセスの統合・改善とKPI改善に向けた取り組み(+α活動)の成果とあわせて紹介された。
同社では、業務フロー標準化の取り組みと並行して、プラスアルファのアイデアを適用して行くことで、他にマネのできない品質と魅力ある製品作りを目指している。+α活動の成果は、ある意味で富士ゼロックスのモノづくりノウハウの中核ともいえるものだ。
詳細は別途レポートにて紹介する予定だが、例えば海外拠点での生産製品も数多く抱えている同社が、量産段階までのリードタイム短縮のために、VPSの機能を活用して組み付け工程の技術指導に掛かるコストと時間を大幅に削減するなど、大きな成果を上げているという。VPS活用事例のほかにも同社が独自で開発しているドキュメント管理システムと組み合わせた改善事例など、自社開発システムとの連携や活用アイデアは特筆すべきだろう。
エムケー精工は、長野県千曲市に本社を構える機械メーカーだ。洗車機のような大型の機器から、餅つき機のような家電器機までの幅広いジャンルの製品を、企画開発から製造・販売までを包括的に取り扱うメーカーだ。
今回事例として紹介されたのは同社の取り扱う「門型洗車機」の開発工程の改革だ。
門型洗車機とは、ガソリンスタンドなどで見かける、自動式の洗車機のことを指す。門型洗車機部門では、設置場所やサイズ、配色などを含め、店舗ごとのニーズに合わせた受注生産での対応が多いという特徴がある。
注文への対処で多忙な現場に対応を強いることになる設計ツールの変更は、一度に実現するは難しい。慣れた環境ならすぐに対応できる問題でも、勝手の違うツールではそうはいかないので、現場の抵抗が激しいというのが大方のところだろう。
にもかかわらず、同社での3次元設計環境への移行は非常にスムーズに実現したという。
同社 商品開発研究所 研究開発一グループ主任の酒井 陽三氏によると、「Quick Start and Small win」をキーワードに、小さな初期投資で効果的にシステムインフラを段階的に導入し、開発体制そのものも」という。3次元設計環境とPDM(PLMIA)導入でもその効果が発揮されたことが示された。
酒井氏は導入したPLEMIAについて「さまざまな機能がモジュールとして独立して提供されているため、シンプルな構成から始めて徐々にモジュールを追加していくような導入方法への対応が可能だった。この点で当社のSmall Startという考え方に非常にマッチしていた」と評価した。
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各セッションとも、具体的な改善策やその実現方法について詳細な情報が披露され、充実したセミナーとなった。各社のアイデアや取り組みが紹介されるたびに会場からは感嘆の声が聞かれたのが印象的だった。
各企業の取り組み詳細は別途紹介する予定なので、ぜひ、読者の皆さんも参考にしていただきたい。
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