プロダクトマネジメント(製品情報)、プロセスマネジメント(設計プロセス)、リソースマネジメント(設計のリソース)の3つのMがM3コンセプトの柱となる。構想設計時にメカ・エレキ・ファームウェアの各部門の擦り合わせが容易になるという。
富士通と富士通長野システムエンジニアリングは4月8日、富士通グループで提供されてきたPDMソリューション製品群を「M3」という統一コンセプトで新たに体系化した。これに伴い、富士通が提供するPDMソフトウェア「PLEMIA」の製品ラインアップが一新され、新たに業態・規模別に3つの選択肢が用意されることになる。
価格はPLEMIA BOM Standard Oneが240万円〜、PLEMIA BOM Standardが560万円〜、PLEMIA BOM Enterpriseが4200万円〜。
M3コンセプトが生まれた背景には、「いかに品質・コスト・納期(QCD)を効率よく管理していくか」という製造現場での課題がある。特に、近年ではハードウェア/ソフトウェアの高度化・複雑化が顕著なため、いままで以上に、設計段階での手戻りは大きなリスクとなってきている。調査不足→品質のばらつきや不整合、人的リソースの不足→手戻りへの対応……というマイナスのスパイラルに陥るプロジェクトも多い。こうした問題を回避するには、上流工程の、なるべく早い段階で問題解決を行うことが必要だ。
M3コンセプトは、こうした問題を、人間の勘や経験に頼らず、誰でも一定の品質を提供できるような仕組みを提供しようというものだ。プロダクトマネジメント(製品情報)、プロセスマネジメント(設計プロセス)、リソースマネジメント(設計のリソース)の3つのMがM3コンセプトの柱となる。
構想設計時にメカ・エレキ・ファームウェアの各部門の擦り合わせが容易になるほか、今後は、ノウハウの再利用を行う際には自動的に前例などを呼び出して表示させる機能の追加なども検討されている。
また、開発プロセスにおいては、各部門のプロセスの変更を瞬時に把握、リスクを「見える化」することで、初期段階で問題解決策を取ることができるようになっている。
原価企画支援機能や課題管理・クレーム管理も同じツールで一括で行えるのが特徴。また、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の採用により、複数拠点間の連携が可能で、多数の拠点間に点在する情報を一括して検索できる。検索結果表示に要する時間も、同製品従来型比較で30倍程度高速化するとしている。
今回のコンセプト発表と合わせてリリースされるPLEMIA製品群は、こうしたM3コンセプトの根幹となるBOM(部品表)の部分(「PLEMIA BOM」)。検索機能が高速化されるなど、使い勝手も向上している。
「PLEMIA BOM Standard One」では、品目管理・構成管理・図面/ドキュメント管理などを中心とした基本機能が提供される。部門単位で管理を行う場合はこの版が最適だ。
「PLEMIA BOM Standard」では、部品表(BOM)管理機能や工程管理などの機能が加えられているほか、受注情報管理、モジュール単位で組み合わせ設計を検証する「コンフィグレーター機能」、共通部品化を検討する際に活用できるマトリックス部品表、原価企画機能なども提供される。社内の複数の部門をまたぐ連携を考慮するならばこの版が適している。
最上位の「PLEMIA BOM Enterprise」では、これらの機能に加え、仕様変更が発生した際の部品表の変更が一括で実行できるほか、ユニットごとの工程を管理できるようになっている。海外拠点を含むようなグローバルネットワークをしく体制の場合はこの製品が適している。また、各版とも業務の実態に合わせたカスタマイズが可能だ。動作環境はWindows Server 2003 R2/2008、Oracle Database 10g R2以降/11g R2などとなっている。
PLEMIAシリーズは、以降2010年1月をめどに、構想設計支援機能およびマネジメント機能の強化が図られ、2010年10月にはメカ・エレキ・ファームウェア協調設計機能が強化される予定で、富士通のDMU製品「VPS」などとの連携が可能になるという。このほか、SaaS型での製品提供も予定されている。
同社では、今後3年間でPLEMIAシリーズ全体で300億円程度販売する予定としている。
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