画面タッチで操作ができる3次元モデルビューアや、3次元CADと連動したコミュニケーションツールなど、ちょっと便利な近未来技術を紹介する
複数の画面に1人の設計者が向き合っている。画面に直接タッチし、設計図を操作している。やがて彼は席を立ち上がり、試作台らしきものに向かう。その台にあるのは、試作の実物ではなく立体映像である。その立体映像のロボットを彼の手で直接触り、「NG」と判断するとテーブルの脇へそれを捨てていく。すると、また新たなロボットのモデルが出現する。――米ダッソー・システムズ・ソリッドワークスのグローバル・プライベートイベント「SolidWorks World 2009」(2009年2月8〜11日、米国オーランド州)のゼネラルセッション内で、まるでSF映画を見ているようなデモンストレーションが登場した。それは未来の設計現場を模した1コマだった。
同イベントの展示ブース(パートナー展示)でも、そんな未来の設計現場の可能性を漂わせる設計支援ツールたちが顔を見せていた。本レポートではその一部を紹介していく。
設計レビューで、3次元CADやビューアの画面を操作しながら人に説明をする際、つい指で画面に触りたくなる瞬間はないだろうか!? 画面に直接指を触れ、3次元モデルの角度を変えられたら、どんなに便利だろう。そんな願いをかなえてくれそうな技術を紹介する。
アイデンティティ マイン(Indentity Mine)社は、「Microsoft Surface」を利用した新しいUIを展示した。ただし製品への実装は未定だという。詳しいことの一切は現時点決まっていないが、マルチタッチに対応するOS「Microsoft Windows7」がリリースされた後のタイミングで、「ソリッドワークス ラボ」(「SolidWorks Labs」)にてダウンロードできるようになる可能性はあるそうだ。またユーザーのマシン側でも、何らかしらの手段でタッチ操作に対応している必要がある。
紹介されたのは、3次元モデルビューア(「eDrawings」)と、2次元スケッチの2つの応用例だ。いずれにしても、指をタッチするだけで操作が可能だ。タッチパネルは人の指だけではなく、物体も認識するという。
3次元モデルのビューでは、指の本数やタッチの仕方のパターンを使い分けることで、回転やパニング(平行移動)などさまざまな操作ができる。選択してからパニングすれば、部品を取り外せる。もちろんズームも可能だ。
上記を応用してこんなことも可能にした。画面の上にサンプルの箱を置くと、そこに箱の画像が表示される。箱をひっくり返すと、画像の方もひっくり返る。
その種は、サンプルの裏に貼られたタグ(画像4)。タグを画面に読ませ、あらかじめ登録しておいた3次元CADの画像を呼び出している。
スケッチのビューでは、直線や円、スプライン曲線などが描ける。点数はフィックスされるが、指でドラッグすると形状や長さが自由自在に変わる。スプラインにはアンカーが出現し、アンカーの点をドラッグすることで曲線を変形させることができる。
ソリッドワークス ラボでは、3次元CADの実験段階の技術を公開している。ユーザーがダウンロードして評価することが可能だ。すべての技術が製品に実装されるとは限らないが、過去の「SolidWorks」のバージョンアップにてラボの技術が活用されたケースもあるという。
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