抽出した思い込みと、ジレンマの構造に着目し「変化」を実現することで、ジレンマを打ち破っていきます(図3)。
われわれの「雲:クラウド」を検討してみましょう(図4)。どう考えてもA−B−Dのラインで主張していることは、事実ではあっても条件付きでありそうです。アイデアを注入するポイントの1はジレンマを発生させている元凶ですから、2で解決できないか考えてみましょう。
がないでしょうか?
解決策は、行動ではなく“状態”として表記します。例えば、「TOCを導入する」というアイデアが出たのであれば、「TOCを導入している」という状態として書き表しておきます。
「○○をする」と考えると「障害」や「副作用」が思い浮かび、せっかくのアイデアを阻害することがあるからなのです。次に列挙した解決策の中から、中核のジレンマを解くことができるものを選びます。解決策は1つとは限りません。しかし、多くの解決策は多くの行動を必要とします。従って十分にパワフルな解決策に絞ることが重要になります。
解決策の例を見てどう思ったでしょうか。「それができれば苦労しないよ」という声が聞こえてきそうですね。次回は「それができれば苦労しないよ」について考えてみましょう。その前に、次ページでは論理性を検証する方法を紹介します。
ここでちょっとTOC思考プロセスで使われる記号について説明しましょう。記号は3つだけですから、すぐに覚えられます。
注1:箱(ボックス) 正式なTOC思考プロセスの「お作法」ではエンティティ(Entity:実体)と呼びますが、分かりづらいので「箱(ボックス)」ということで理解しましょう。
箱は、長方形の箱です。ただし形は2種類あります。丸角の長方形は存在している事象や事実を表し、角ありの長方形は行動(インジェクション・アクション)を表します。
矢印は、2つの箱同士の関係を表すもので、関係そのものは因果関係と必要条件の2種類があります。
アンド・コネクタは楕円(だえん)で表され、複数の要因が合わさって結果が生じるときに、その複数要因を束ねて表すために使われます。従って、その複数要因が同時に発生しないと結果が生じないことになります。形が似ているのでバナナとも呼ばれます。図5のように、もしも「酸素があり」「燃料があり」「着火源がある」ならばそのときは「火が付けられる」と読みます。アンド・コネクタの役割は、3つのうちどれか1つでもなくなれば結果が起きないと直感的に示すことなのです。
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