ITを極めてリードタイムとコストを削減せよ開催直前! DMS2008速報

リード エグジビジョン ジャパンは、6月25日から27日の3日間、製造業向けIT製品の大型展示会「第19回 設計・製造ソリューション展」を東京ビッグサイトで開催する。今回は、その裏方を取りまとめるリーダー、リード エグジビジョン ジャパン DMS事務局長の島田周平氏に話をお伺いした。

» 2008年06月24日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 今回はリード エグジビジョン ジャパン DMS事務局長の島田周平氏にご登場いただき、いまの製造業のトレンドや、展示会の回り方のコツなどをお伺いした。

――最近の日本の製造業に関して、御社の考えているところは? また企画コンセプトは?

 近年、日本国内の製造業ではグローバル化が進んできています。それには2つ意味があり、1つは売り先として、もう1つは生産拠点としてですね。日本は“製造業の国”とよくいわれますし、設計拠点としては世界においても中心地であるといえます。これからもその力はますます大きくなっていくでしょう。

リード エグジビジョン ジャパン DMS事務局長 島田 周平氏

 今回の企画コンセプトでは――製造業において永遠のテーマといわれていますが――1つはリードタイムの短縮およびモノづくりコストの削減が重要なポイントになっています。例えば携帯電話でも、新しい機種がどんどん生まれていっていますから、いかに開発期間を短縮し、いかに良いタイミングで市場投入しようか、というのが課題となります。

 また自動車産業では、いかにコストダウンするかが大きな課題となっていますね。最近は燃料費や材料費も高くなってきています。20万円台で売り出すインド製の車も出てきました。そのうえ、さまざまな設計課題もありますよね。

――今回からは技術伝承ゾーンが追加されていますね。

 モノづくりの現場では技術者不足が大きな問題になっています。日本の高度経済成長を支えてきた団塊の世代が次々と定年退職を迎えています。従来の日本のモノづくりはその暗黙値、いわゆる知恵や勘頼みな部分もありました。それをいかに後に続く世代に継承していくか、ということですよね。

 人材不足に取り組むアプローチとしては従来、アウトソーシングゾーンという請負や派遣事業に関するゾーンを設けてきました。しかしそれだけでは不十分で、具体的にどのように技術伝承をするか、その問題をクリアするための製品提案がほしい、と出展社や来場される皆さまより強い要望があったことで、技術伝承ゾーンがこのたび誕生しました。もちろんこのゾーンの製品だけではなく、CADやPLMもまた技術伝承に有効な技術でもあります。専門セミナー内にもこの課題に取り組んだ講演があります。

 現状のアウトソーシングゾーンについては、グローバル化している傾向ですね。今回は、インドの自動車会社や中国企業の出展もあります。

――出展製品の動向は?

 解析やCAEが非常に盛り上がっています。数年前から、設計者自身が解析も行おうという動きがありましたが、それがいま、スタンダードになりつつあります。また最近の製品は、CAD/CAM、PLMの融合化がどんどん進んでいて、世の中に浸透しつつあります。

 PLMの概念はベンダさんごとで微妙に異なる部分はあります。一昔前はいまのPLMに該当するシステムをPDMと呼んでいて、図面管理に特化したものになっていました。現状のPLMの概念は、広義でいえば3次元CADやCAMも含まれています。出展社も「あなたはCADベンダですか? PLMベンダですか?」と聞かれれば返答に困るはずですよ(笑)。CADベンダ各社は最近、売り方を大幅に変えてきています。過去の2次元CADから3次元CADへの移行も大きな技術革新であったわけですが、例えば「3次元から5次元へ!」というのはあり得ないですよね。いまや、設計ツールとしては高度なものとなった3次元CADをどう利用するかに注目が集まっています。

 先に挙げた、コストダウンやリードタイムの短縮といった課題をクリアするには、設計・製造にまつわるデータを一気通貫で流していくことが肝心であり、PLMはそれに有効な手段であります。製造業各社による優れた事例もたくさん出てきていますし、PLMがどの企業でも当たり前になる日は近いのではないでしょうか。

――生産管理システムはPLMに融合されることはありますか?

 設計から製造までを一括管理といった流れになってきたとき、その中に当然、ERPなどの生産管理システムも組み込まれるでしょう。そういった意味においての融合はあるでしょう。

 しかし生産管理というのは、製造においては極めて重要な項目であると私どもは考えています。ですからそこだけを専業にやっているベンダや製品は将来もなくなることはないでしょう。生産管理システムゾーンに出展する企業でも、生産管理ソフトウェアパッケージのみに特化したベンダや、生産スケジューラをメインに扱うベンダなど細やかな部分に特化した企業もあります。生産管理に特化したシステムという概念は、当分は個別にあるだろうと考えていますし、DMS展内でも生産管理システムゾーンが存在し続けると思います。

――最後にMONOist読者へ、『DMSの歩き方』についてアドバイスをお願いします。

 今回も1600社以上と出展数が多いので、とにかく上手に計画し、効率よく回ってほしいですね。

 まずは自分の日ごろの業務における課題を整理し、明確にしてください。例えば、設計者なら、いま使っているCADのバージョンを上げたい、または乗り換えたい、などでしょうか。次に公式ページの検索を活用してください。「CAD」や「CAE」など興味のあるキーワードで絞り込んで、候補を出してみてください。

 公式ページから会場レイアウト図をダウンロードしてきてプリントアウトし、上記で調べた候補の企業のブースをマーカーでチェックしてみてください。ゾーン配置も、互いに近いテーマが近接するようにして、来場者が回りやすいように配慮しています。

 この展示会の利点は、最新製品を自ら体験することで、製品や業界に関する見識を深められるところにあると思います。使い勝手やシステムの仕様などを実際に操作して実感できるし、そのそばには製品に詳しい技術者がいてすぐに質問することもできます。

 ブースで製品1つ1つの詳しい情報は聞けますが、「業界動向がどうなっているのか」「ほかの会社はどうやっているのか」などを知りたい場合はPRセミナーや専門セミナーの聴講をお勧めします。最新事例やユーザー事例が紹介されています。設計者の方なら、やはり3次元CADやPLMに関する事例がいいと思います。例えば大手自動車企業の活用事例などは興味深いと思います。それから「教育普及」もテーマにしていますが、そこには「設計者がCAEなどで構造解析をどう行えばいいのか」という事項も含まれます。

――ありがとうございました。

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