PTC、「ProductView 9.1」を発表、ウリは性能向上CADデータからサムネイルを作成するビューアの最新版

ProductView 9.1ではマルチコアのパフォーマンスを引き出すために、マルチスレッドによる並列処理を強化している。また今回、ProductViewを異なるプラットフォーム(Web、Java、Microsoft Office)に埋め込むためのツールキットが提供された。

» 2008年06月05日 10時00分 公開
[上島康夫,MONOist]

 PTCは2008年6月3日(米国時間)、カリフォルニア州ロングビーチで開催中の「PTC/USER World Event 2008」で、同社がビジュアル・コラボレーション・ソフトウェアと位置付けるCADデータ・ビューアの最新版「ProductView 9.1」を発表した。前バージョンの8.0からアーキテクチャを一新し、パフォーマンスは最大10倍向上したという。この新アーキテクチャは同社のPLM製品「Windchill 9.0」に組み込まれている「ProductView 9.0」で既に採用しているが、今回はスタンドアロン版として初めての新アーキテクチャ搭載製品ということになる。

 航空機や大型タンカーなど、部品点数が50万〜100万個にもなる3次元CADデータのサムネイル作成では、ポリゴン数10億以上ものレンダリングが必要になる。このような大規模開発の環境にはオプションで64bitサポートを提供するという(写真1)。

写真1 ProductView 9.1によるビュー ボーイング社提供(クリックで画像が拡大します)

 近年、IA(インテルアーキテクチャ)サーバ製品の高性能低価格化を推し進めているのは64bitおよびCPUのマルチコア化だが、ProductView 9.1ではマルチコアのパフォーマンスを引き出すために、マルチスレッドによる並列処理を強化している。また今回、ProductViewを異なるプラットフォーム(Web、Java、Microsoft Office)に埋め込むためのツールキットが提供された。

写真2 製品開発担当上級副社長 ブライアン・シェパード氏

 新規の「Microsoft Office 2007」ライクなユーザーインタフェースや、「Microsoft Office PowerPoint」にProductView 9.1のサムネイルを貼り付け、3次元データとして視角を自由に変更できる機能など、エンジニア以外のユーザーに対する視覚効果や操作性も拡張されている。同社の製品開発担当上級副社長、ブライアン・シェパード(Brian A. Shepherd)氏は、「3次元CADで作成されたモデルは、ProductViewでサムネイル化することで、設計エンジニア以外の人たち、例えばマーケティングや製造部門の人たちと製品情報を視覚的に共有できるようになる。ProductViewは当社が推進するPDS(製品開発システム)を構成する重要な製品だ」と語った。

 ProductView 9.1は2008年9月に発売予定。さらに、2008年末には無償版のProductViewも計画しているという。

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