PTCジャパンは、2008年5月14日、3次元CADおよび管理ツール「CoCreate 2008」を5月19日より出荷開始すると発表した。
PTCは2007年12月4日にコクリエイト・ソフトウェアを買収した。その後初めてのコクリエイト製品の発表となった。考え方がまったく異なるモデリング手法による、それぞれの製品の統合が重要課題の1つだが、その点についていま、どのようなアプローチが取られているのだろうか。
コクリエイトは「エクスプリシットモデリング」(従来は「ノンヒストリー」や「ダイレクトモデリング」と呼ばれる)という設計履歴や寸法拘束のないモデリング手法を採用している。これに対してPTCが提供するもう1つの3次元CAD製品「Pro/ENGINEER」は、寸法値を変えることで図形の関連する形状をすべて変更できるパラメトリックモデリングだ。
同社は顧客や設計対象によって、この2種の異なるモデリング手法を使い分けてもらいたいという。「この2つの手法をヤミクモに組み合わせようとしても、いいことはないだろう」。CoCreate Software GmbH マーケティング統括兼開発担当副社長 ウーリッヒ マーレ(Ulrich H.Mahle)氏は苦笑した。以前の、買収発表の記者会見で説明があったとおり、モデリング手法そのものの統合はあり得ないようだ。
新バージョン「CoCreate 2008」のモデラー「CoCreate Modeling 2008」における機能強化としては、以下である。
曲面サーフェスから、曲線と境界条件を自動検出し、線をドラッグ、あるいは寸法を修正することで修正が可能となる。さらに「ワイヤエディタ」という、接続や一致、連続を検出する3次元曲線ツールが加わった。
またエクスプリシットモデリングの大きな利点ともいえるコピーアンドペーストの機能を効率化した。その一端として、不規則なパターンや除外形状、意匠曲面までもグループ化する機能を追加した。円柱形状を自動検知してから、それをさらにミラー反転したりもできる。操作の繰り返しを集約することで、モデリング時間を削減できるという。
ブレンドの機能には従来多くの制約があったが、今回この問題を改善したことで、複雑な形状に対してもブレンド作成を行えるようになった。ブレンドの頂点を自動検出、ドラッグすることによる修正もできるが、さらにそれを自動調整してくれる(「インテリジェント ブレンド」機能)。
断面を参照しながら面をオフセットしたり、パーツ位置の変更もできる。複雑なアセンブリでも実行可能だ。この機能では、2次元CADの設計に近い感覚を狙っている。
ほか、2Dビューのシェーディング機能の付加、板金機能やレンダリングに関する機能拡張など、すべてを紹介すると100項目は超えるとのことだ。
「CoCreate Model Manager 2008」では、パフォーマンスの最適化による処理の高速化や管理機能強化を行った。なおCoCreate Modelingのデータ管理は、当面「CoCreate Model Manager」を使う。ただ将来的には「Windchill」でもCoCreate Modelingを扱いたいと考えているという。「そのプロジェクトは進行中でプロトタイプも完成している」とマーレ氏はいう。ただリリース日程は現時点未定で、少なくとも1年は先だろうとのことだ。
今後もPTCはコクリエイト製品(統合関連含む)に積極的な投資を行い改良を進めていき、さらなる市場拡大へとつなげたい方針だという。
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