ソリッドワークスは、まだまだ満足していない日米CEO プレスイベント

» 2007年09月27日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 ソリッドワークス・ジャパンは、2007年9月25日、同社のプライベートセミナー「SolidWorks World Japan 2007」開催にあたり、日米のCEOによるプレスイベントを行った。

 同社 代表取締役社長 飯田晴祥氏は、「国内では、47都道府県すべてに『SolidWorks』ユーザーがいる。ただ、海外に比べ、教育機関への導入が遅れている傾向なので、今後力を入れていきたい」と話した。同社は「全日本 学生フォーミュラ大会」への協賛も行っている。

ソリッドワークス・ジャパン 代表取締役社長 飯田晴祥氏

 また、航空分野へのシェア拡大にも力を入れていきたいという。

 飯田氏は、2007年9月1日に同社代表取締役社長に就任したばかりで、以前はUGS PLMソリューションズの社長を務めていた。同社資料によると「モンゴルで相撲をしたときにストラタスからUGSへの移籍を決め、ベトナムのジャングルを歩きまわっていたときにソリッドワークス移籍を決めた」そうだ 。

 「外資系IT企業で営業職や経営に30年以上携わってきたイイダが、ソリッドワークスに来てくれたことは、とても喜ばしいことだ」と米ソリッドワークス 最高経営責任者 ジェフ・レイ(Jeff Ray)氏は話した。

木は切りたいけど、指は切りたくない!

 かつて、米国内ではテーブルソー(テーブルの上に丸のこぎりが乗った木工具)による深刻な事故(指や身体の部位を切断するなど)が多発していた。

 レイ氏は「『木は切りたいけど、指は切りたくない』というこのような矛盾した条件に解決策が求められた」という。

 そこで開発されたのが、のこぎりの歯が指を高速検知するシステム「SawStop」(米SawStop)だ。その検知スピードは、50マイクロ秒であるという。この開発に、同社のSolidWorksが使われたという。

 レイ氏は、SawStop搭載のテーブルソーの丸のこぎりの手前にソーセージを乗せ、装置を動作させてみるという、開発中の実験を動画で紹介した(動画は、SawStopのWebサイトトップの左下、「Hot Dog Demo」というタイトルのプレイヤーリンクを参照)。最終的にはソーセージではなく、発明者のステファン・ガス(Stephen Gass)氏が自らの指を実験台にしたという恐ろしい逸話がある(SawStopのWebサイトより)。

 「ソーセージがちょっと切れてしまっている……これが人の指だったら切り傷を負ったということになってしまう。しかし、SawStopが効かなければ、切り傷どころの話ではなかった」とレイ氏は話した。

 SawStopは、2006年に米Time誌の「Innovation of the Year」、米Popular Mechanics誌の「Breakthrough Award」を受賞している。

 SawStopの事例がまさに「誰も思い付かなかったアイデアを盛り込むこと」であるとレイ氏は述べた。「過去の話を挙げれば、『冷めた食べ物を温めたい』という問題を解決したのが電子レンジだったわけだ」(レイ氏)。

 ほかに、SolidWorksのユーザー事例として、米Zoll Medicalの心臓発作の感知装置も紹介し、同社の医療機器分野への貢献についてもレイ氏は説明した。

 「このように、『すばらしい製品』とは、『問題解決ができる製品』ということである。SolidWorksはそんな製品の開発を手助けするのが使命だ」とレイ氏は強調した。

解析をメインストリームにした設計を

米ソリッドワークス 最高経営責任者 ジェフ・レイ氏

 レイ氏は、3次元モデルによる設計のメリットについて以下を2つを挙げた。

革新的設計を進めるために有利

製造分野に適している

 「革新的設計」の要素のうちの1つに、3次元モデルを利用した解析機能を挙げた。レイ氏は「解析ソフトCOSMOSは、3次元CADのSolidWorksに100%統合している」と、それらの親和性を強調した。Solid Worksは、5年前にCOSMOSを買収している。SolidWorksには、部品解析ツールの「COSMOSXpress」が標準で搭載されている。

 また「SolidWorks 2008」から、UIが大幅に変わったという。「機能ばかりではなく、見た目だってよくなければいけない」とレイ氏。

 レイ氏は「(SolidWorksは)3次元モデルが、インターネット上にあるのか、サーバ上にあるのかを意識しないでモデル共有ができるため、まるでオンラインゲーム感覚で、グローバルな開発コラボレーションが可能となる」と話した。

 最後にレイ氏は「当社は、まだまだ満足しているわけではない。ユーザーからもらうアドバイスを基に、さらにいい製品を作っていきたい」と講演の最後をしめた。

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