H8マイコンに対して信号を入力するタイプの機器として、スイッチ・ロータリエンコーダの構造と制御方法を解説する。
これまでの連載では、LEDの点灯、LCDの表示、各種モータの制御など、主にH8マイコンから制御信号を出力する機器について紹介してきました。今回はH8マイコンに対して信号を入力するタイプの機器について、サンプルプログラムと併せて紹介していきます。
入力系として、まずスイッチを取り上げます。スイッチの種類はいろいろありますが、
といった用途に使われます。
「回路の接続を切り替える」とは、例えばある機器1と機器2がボード上にあり、マイコンのある信号端子を共有しているときに、その信号端子をどちらの機器につないで使うかを選択するためにスイッチを使う、という用途です(図1)。
本連載で使用しているターゲットボード(詳細は第6回を参照)でも少々特殊な用途として、
RXD信号を、H8/3048F-ONEの内蔵フラッシュメモリにプログラムを書き込むためのシリアル通信用コネクタに接続するか、H8/3048F-ONEのオンチップエミュレータをデバッガと接続するためのコネクタに接続するかを切り替える
で使用しています。この際、ボードに電源を入れる前にあらかじめスイッチを設定することで使いたい機能を選択します。
また、機器の切り替えではありませんが、H8/3048F-ONEの動作モードの切り替えにもスイッチが使われています。H8/3048F-ONEには0〜7のモードがあり、メモリやポートの使用方法が異なります。そのモードを決定するための端子が設けられており、電源の投入時に入力する信号のHigh/Lowで動作モードが決まります。動作モードの決定には、DIPスイッチが使用されています。
もう1つの使い方の例として挙げた「入力端子へ入力する電圧のHigh/Lowを切り替える」ですが、こちらはある機器が何らかのアクションを起こすきっかけとして使われます。
例えばこれまでの連載を振り返ってみると、ステッピングモータやDCモータ、サーボモータの回転方向や速度を切り替えたいといったときに、H8マイコンのスイッチがつながれた端子がLowだったら時計回り、Highだったら反時計回りといった使い方ができます。
本連載のターゲットボードにはトグルスイッチ、DIPスイッチ、プッシュスイッチ、スライドスイッチが載っています。このうちDIPスイッチとスライドスイッチはH8マイコンの動作モードの設定など、機能の切り替えに関する使い方をしています。
プッシュスイッチはターゲットボードのリセットスイッチとして使用されており、普段はスイッチがOFFの状態でリセット回路にHighの電圧が加えられています。そして、スイッチを押している間このリセット回路にLowの電圧が加えられシステムにリセットが掛かります。ボタンから手を離すとバネの力によりスイッチがOFFとなり、システムが再び動き始めます。
最後のトグルスイッチがH8/3048F-ONEのポート7に接続されており、「入力端子へ入力する電圧のHigh/Lowを切り替える」実験を行うためのスイッチとして使用されています。
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