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アプリローンチが加速する自動車のデータ共有圏Catena-X/Cofinity-Xとは?加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(5)(2/4 ページ)

欧州を中心にデータ共有圏の動向や日本へのインパクトについて解説する本連載。第5回は、自動車向けデータ共有圏であるCatena-XとCofinity-Xを紹介する。

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Catena-Xの想定ユースケース

 Catena-Xは図5表1に挙げるようなユースケースを掲げており、今後さらに拡大していく予定である。トレーサビリティー(Traceability)や、企業間の関係性マネジメント(BPDM - Business Partner Data Management)が土台となり、そこにCO2データやエンジニアリングデータ、品質データなどを付加していくことにより、それぞれのユースケースが展開されることとなる。後述するが、協調領域系のユースケースについてはアプリケーションの開発がある程度進みつつあり、競争領域については今後開発が加速していく形となる。

図5
図5 Catena-Xが想定しているユースケース[クリックで拡大] 出所:筆者作成
表1
表1 Catena-Xのユースケースとその概要[クリックで拡大] 出所:筆者作成

オープンソース開発とEclipse Tractus-X

 Catena-Xで開発されるシステムはオープンソースで公開され、Eclipse Foundationと呼ばれるオープンソースソフトウェアの開発コミュニティーとも連携している。当該コミュニティーで開発されたものもGitHubなどで公開される。オープンソースでの開発に当たっては、上記のEclipse Foundationの傘下としてEclipse Tractus-Xプロジェクトが世界最大のオープンソースプロジェクトとして動いている。当該プロジェクトは、開発者がサービス/アプリケーションの開発と運用を行いやすくするための土台となるレファレンスやキット(KIT)を開発、提供している。

図6 Eclipse Tractus-Xを通じて提供されているキットの一例[クリックで拡大] 出所:<A HREF="https://eclipse-tractusx.github.io/Kits" target="_blank" rel="noopener">Eclipse Tractus-X</A>

Catena-Xの参画企業

 Catena-Xには約200の企業/組織が参加している。ドイツ勢のみならず、欧州系や、米国のフォード、カナダのマグナなどの自動車メーカーやティア1サプライヤーとともに、IBM、Google、AWSなどのIT企業が名を連ねる。日本企業では、デンソー、旭化成、NTTコミュニケーションズなどの名前が挙がる。さらにはリサイクル企業など幅広いレイヤーの企業/組織が所属している。

 28のコア開発パートナーを中心としてスタートしたCatena-Xのネットワークは、2024年11月時点ではグローバルで193企業にまで拡大している。欧州外のハブとしては、中国や日本、米国に広がっている。Catena-Xの各国での運営においては、各国の要望に基づいて仕様を標準化した上で、各国のルールでシステム運用されることが想定されている。米国、中国、フランス、スウェーデンなど、それぞれの国のルール/商慣習に基づいて、Catena-Xの標準を土台に運用環境を作っていく形となる。

図7
図7 Catena-Xネットワークのグローバルでの広がり[クリックで拡大] 出所:Catena-XのWebサイト

中小企業の参画支援

 データスペースの展開に当たっては、データの出し手となるサプライチェーンの上流企業や中小企業の参画が重要となる。こうした中小企業の参画のためにオンボーディングパッケージなどを整備し、中小企業やデジタルのノウハウが不足している企業もスムーズに参画できる仕組みを準備している。

図8
図8 Catena-Xのオンボーディングパッケージ[クリックで拡大] 出所:Catena-X

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