デジタル空間でAIが自律的に試行を回す AWSの「フィジカルAI自律R&D基盤」とは:人工知能ニュース

Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は「CEATEC 2026」において、フィジカルAIの開発を支援する「フィジカルAI自律R&D基盤」を披露した。

» 2026年10月28日 07時15分 公開
[坪田澪樹,MONOist]

 Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は「CEATEC 2026」(2026年10月13〜16日、幕張メッセ)において、フィジカルAI(人工知能)の開発/実装を支援する「フィジカルAI自律R&D基盤」を披露した。

会場で披露した「フィジカルAI自律R&D基盤」を活用して学習させたロボットによるデモンストレーションの様子[クリックで拡大]

 フィジカルAIを実際に工場などに導入して活用するためには、現場や作業ごとに適したロボットの動きを作る必要がある。そのため、ロボットに必要な動作を教える工程が大事となる。

 AWSジャパン 技術統括本部 ストラテジックエンタープライズ本部 本部長の岡本京氏は「ハードウェアとしてはアームやヒューマノイド、四足歩行型のロボットといったさまざまな選択肢がそろってきており、ロボット基盤モデルといわれるようなVLA(Vision Language Action)をはじめとするモデルの形は出てきたものの、ロボットの動きを作る工程がボトルネックになっている」と語る。

 続けて、「LLM(大規模言語モデル)のようなAIの教師データには、インターネットから収集した膨大なテキストデータを活用できるが、フィジカルAIにおいて教師データとなるのは、実際に現場で作業を行っている人の動きになる。そのため、フィジカルAIは学習に必要なデータが不足している部分に対してどのように立ち向かい、いかに素早く必要なデータを収集するのかが大きな課題となっている」と説明する。

フィジカルAIの実装における壁[クリックで拡大] 出所:AWSジャパン

 このような背景の中、AWSはフィジカルAIの学習データ収集を効率化し、R&Dを支援するフィジカルAI自律R&D基盤により、課題を解決しようとしている。同基盤はAI自身がコードを書いてテスト/修正するというループを自律的に回すというソフトウェア開発のフローを、現実世界に拡張することをコンセプトにしている。

 AWSは既存の自社クラウドサービスを結合させることで、同コンセプトを実現している。例えば、シミュレーションによって試行を繰り返すことができる環境の構築には「Amazon EC2」や「Amazon SageMaker AI」を使用する。これによって完成したAIモデルを実機のロボットに適用する部分では「AWS IoT Greengrass」を、実際の動作確認には「AWS IoT Core」「Amazon Kinesis Video Streams」を、動作の記録/検証には「Amazon S3」「Amazon Athena」を、失敗した部分の修正には「Amazon Bedrock」「Kiro」を活用する。「社内実験ではR&Dに必要な人間の工数を96%削減できるという効果を見ている」(岡本氏)。

フィジカルAI自律R&D基盤のイメージ(左)とAWSの社内実験による期待効果(右)[クリックで拡大] 出所:AWSジャパン

 CEATEC 2026の展示ブースでは、フィジカルAI自律R&D基盤を活用して学習したロボットが、赤いブロックを持ち上げて白いトレーに移すデモンストレーションを披露した。デモンストレーションの説明担当者は「フィジカルAIを活用するためには、ロボットの他に高級なGPUを採用した強力なワークステーションを用意しなければならない。だが、AWSのソリューションを活用することにより、クラウドにつなげるだけでAIエージェントなどを動かすことができるのが大きな強みである」と述べた。

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