村田製作所は、「CEATEC 2026」において、人間の皮膚感覚を模した大面積かつ高密度のセンシング技術「ニューロモルフィックセンシングシステム」を紹介した。
村田製作所は、「CEATEC 2026」(2026年10月13〜17日、幕張メッセ)において、人間の皮膚感覚を模した大面積かつ高密度のセンシング技術「ニューロモルフィックセンシングシステム」を紹介した。九州大学 准教授の矢嶋赳彬氏との共同研究成果である。
電子デバイスにおいて「ニューロモルフィック」という言葉は、人間の脳神経を模倣した演算を行うニューロモルフィックコンピューティング(脳型コンピューティング)で用いられることが多い。これに対して、ニューロモルフィックセンシングシステムは、人間の皮膚感覚を模したセンサーシステムであり、脳型コンピューティングのような演算は行わない。
今回展示したニューロモルフィックセンシングシステムは、村田製作所の独自技術であるフィルムサーミスターを多数作り込んだセンサーシートと、温度変化によるフィルムサーミスターの電気特性変化をデジタル信号として直接読み出すことができるデジタル読み出し回路(DDRO)から構成されている。
フィルムサーミスターはチップサーミスターより熱容量が小さいこともあり温度変化に対する抵抗変化の応答速度が高い。DDROは、このフィルムサーミスターの急峻(きゅうしゅん)な出力変化をデジタル信号として読み出し、デジタル回路であるセルアレイにそのまま入力する。この仕組みでは、一般的なセンサーシステムで用いられているアナログ回路やA-D変換器が不要になるため高速な応答と低消費電力を実現できるようになる。
展示に用いたセンサーシートは5mm角のフィルムサーミスターが32×32個=1024個作り込まれている。ニューロモルフィックセンシングシステムでは、これら1024個のデジタル信号を23μsで読み出せる。これは一般的なセンサーシステムと比べて約2500倍高速だという。
また、1024個のフィルムサーミスターによるセンシングを1秒当たり1000回行っても消費電力は12μWにとどまる。これは、単3電池1本で約30年動作を継続できる計算になる。さらに、展示に用いたセンサーシートのように広範囲かつ高密度にセンサーを配置することが可能である。センサー素子で測定する物理量を変更すれば、温度以外のセンシングにも対応可能とする。
ただし、アナログ回路がないため定量的な温度計測はできない。このため、人間の皮膚と同様に「暖かくなった」「暖かくなくなった」といった従来の状態からの相対的な変化の検知にとどまり、まさに人間の皮膚感覚を模したセンサーシステムとなっている。
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