ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は、日本の製造業の付加価値分配について紹介します。
前回は、経済協力開発機構(OECD)のデータベースを基に「日本の製造業の人件費」について国際比較を通じて紹介しました。1時間あたりの人件費で国際比較してみると、日本はかなり低い水準となっています。日本では実質賃金が低下しているということが話題になりますが、まずは付加価値を増やし、その分配を拡大していくことが必要になります。
さて、今回は、前回と同じくOECDのデータベースを基に、日本の製造業の付加価値分配について見ていきたいと思います。
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私たちの経済活動を国際比較が可能なように体系的に整理した統計が国民経済計算(SNA:System of National Accounts)です。SNAでは、産業別に付加価値とその分配についても集計されていることが特徴的です。
今回は日本の製造業がどのような付加価値の分配構造となっており、企業に残る利益はどの程度なのか、各国との比較から確認していきましょう。
図1のように、生産された付加価値は、その生産に寄与した各部門に分配されます。分配先の説明は以下の通りです。
企業は稼いだ付加価値のうち、その生産に貢献した主体に分配し、手元に残った利益が営業余剰・混合所得(純)となります。私たちになじみのある企業会計で言えば、本業の利益である営業利益に近い概念です。経済統計の枠組みであるSNA(System of National Accounts)と、企業会計には類似性があることが知られています。
企業会計においても、稼いだ付加価値から諸経費を差し引いた本業の利益が営業利益となります。付加価値に計上される項目を見ると、SNAと同様に労働者への分配、政府への分配、固定資産(資本)への分配が含まれていることが共通していますね。
ここからは、具体的に日本の製造業の分配構造を、統計データから確認していきましょう。図3は、日本の製造業の付加価値分配の推移を示したものです。
日本の製造業の付加価値分配(要素所得とも呼ばれます)を見ると、労働者への分配となる雇用者報酬は1990年代と比べて目減りしています。一方で、固定資産(資本)への分配となる固定資本減耗は緩やかに増加していて、企業への分配となる営業余剰・混合所得(純)はかつてより目減りし、停滞傾向が続いています。
これまでこの連載でご紹介してきた通り、日本の製造業では付加価値が増えない中でも、一定水準の投資が続いていて、その蓄積となる固定資産残高は非常に高い水準に達しています。
その分だけ、その維持費用ともいえる固定資本減耗が少しずつ拡大し、労働者や企業への分配が圧迫されているような傾向が確認できます。このような傾向が日本特有のものなのか、日本の製造業の利益は多いのか、国際比較して確認してみましょう。
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