「保守的な日本の現場に合う」導入2500時間の壁を壊す倉庫AI、IFS Softeonの真価:サプライチェーン改革(2/2 ページ)

» 2026年10月20日 06時30分 公開
[安藤照乃,MONOist]
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次四半期にかけて新AI層「Softeon Intelligence」発表へ

 Fulfillment Flowは自然言語による対話型インタフェースを備えている。ユーザーは複数の画面や定型レポートを行き来することなく、「特定の注文の状況はどうなっているか」や「この製品をピッキングしやすいエリアに移動できないのはなぜか」などをAIに直接質問して把握できる。また、過去に発生した欠品やピッキングミスの履歴に対して、特定のSKUや特定の作業員、あるいは特定のエリアといった共通点を探らせ、原因診断のサポートを行わせることも可能である。

 AIが現場の状況を判断して対応策を提案する一方で、同システムは人間の意思決定を介在させる「ヒューマンインザループ」の考え方に基づいている。フラリック氏は、「サプライチェーンにおいては物理的なモノの移動を伴うため、デジタルのように簡単に作業をやり直す(Undo)ことができないからだ」と説明した。

 そのため、AIが完全に自律して全ての業務を実行するのではなく、最終的な決定権は倉庫管理者が保持する仕組みを採用している。AIが自然言語のプロンプトに基づいてシステム設定の変更を提案した場合でも、それが直接本番環境に適用されることはない。提案された変更は必ずユーザー受け入れテスト環境に送られ、人間が検証して承認する。IFS Softeonは、2027年1月にセルフサービスの品質保証(QA)機能を導入し、こうした設定変更のテストをオンデマンドで実行できるようにする予定である。

 現在、IFS Softeonはこれらの新機能に関するパイロット版を顧客とともに運用中である。フラリック氏は、フラリック氏は、今四半期(2026年10〜12月)から次四半期(2027年1〜3月)にかけて、Fulfillment Flowのデジタルワーカーに次ぐ、全体を統括するAI層である「Softeon Intelligence」の一般提供開始を見据えていると明かした。

Softeon Intelligenceを開発中 Softeon Intelligenceを開発中 出所:IFS Softeon[クリックで拡大]
Softeon AIを軸にAI層を構築 Softeon AIを軸にAI層を構築 出所:IFS Softeon[クリックで拡大]

「日本市場は保守的」、だからこそ現場文化に寄り添うAIを

 買収後の事業戦略や日本市場への展開について、改めてIFS Softeon CROのメイリー氏に聞いた。同社は今後の成長戦略として、AIを活用したシステム導入の迅速化を掲げている。

「WMS市場において、導入にかかる期間はこの25年間全く変わっておらず、現在でも実装には約2500時間を要している。今回発表したAIツール群を活用することで、この導入時間を従来の3分の1にまで短縮していく」(同氏)

 日本市場への展開も本格化させている。かつてのSofteonはアジア太平洋地域における人員が限られていたが、現在はIFSの日本法人であるIFSジャパンと連携して体制を強化している。メイリー氏は、すでに10件以上の新規案件を獲得していることを強調し、日本市場へ注力していく姿勢を示した。

 一方で、日本市場には独自の特性もあるという。

「日本の現場は他国と比較して保守的であり、新しい技術の適応に慎重な傾向がある。しかし今回のAIソリューションは、現場のプロセスを急激に壊すのではなく、管理者を自然言語などで支えるアプローチであるため、日本の現場文化に完全にフィットすると考えている」(同氏)

 IFSとIFS Softeonは長期的な視点で日本におけるビジネスを構築していくとしており、現場の知見を尊重しながらシステムの迅速な導入と全体最適化を推し進めることで、日本の製造/物流現場の変革を支援していく構えだ。

(取材協力:IFS)

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