加工工程を最適化するAIエージェントは、3D CADモデルなどの加工部品のデータを投入することで、加工部品に応じた加工方法や加工順序、切削条件を含む加工工程を自動で設計し、マザトロールプログラムとして提案する。ユーザーはそれを確認した上で加工をすぐに始めることができる。生成されたマザトロールプログラムの修正も可能で、それら各現場に応じたプログラムを追加学習することで、製造環境に合ったモデルへとチューニングできる。
マザトロールプログラムは、通常工作機械を動かすために用いられるGコードとは異なり、マザックが長年展開してきた日常言語による対話型のNCプログラムとなっている。構造化データであるマザトロールプログラムに蓄積された加工意図や判断結果をAIに学習させることで、判断基準(ノウハウ)を生成する。
Gコードは、「機械をどのように動かすか」という手順/手段を命令するプログラムだ。そのため、プログラム化された後は「なぜその工具や条件を選んだのか」という作業者の加工意図や目的を後から抽出することが困難だった。
一方でマザトロールプログラムは、作業者が対話画面上の案内に沿って情報を入力して作り上げるため、「何をどのように加工したいのか」という作業者の意図や目的が盛り込まれている。
ヤマザキマザック 上席執行役員 商品開発本部 副本部長の澤田洋祐氏は「LLMから見れば、構造化された自然言語に近いマザトロールプログラムは親和性が高い。それらをAIエージェントに学習させることで、ノウハウや判断基準が生成できる」と語る。
生産スケジュールの最適化を支援するAIエージェントは、生産計画、設備の稼働状況、部材の在庫情報、現場の運用ノウハウを踏まえて、生産スケジュールを提案する。特急案件の割り込みや設備の停止、材料欠品などのイレギュラー発生時には、ベテラン作業員が行っている柔軟な優先順位調整やスケジュール再構築を自動化する。
マザックでは、工作機械やロボット、自動搬送装置などをセル単位で一括して集中管理するシステムを既に提供している。AIエージェントはこのシステムの中で、上位システムと連携して、各設備に対して「どの設備でどう加工するか」という実行指示を作成、管理する。また、イレギュラー時に現場が出した変更指示や、その際の稼働状態や在庫の差分を蓄積、学習することで現場の運用ノウハウを生成する。
「管理システムにはスケジュール以外に、いろいろな機能がある。それぞれの機能に応じたAIエージェントも将来的に作っていく」(澤田氏)
いずれのAIエージェントも、マザック内のデータで作られた基盤モデルをベースに、ユーザーの固有モデルを育てることができる。現状はまだPoC(概念実証)の段階であり、今後社内での実証実験から始め、製品化につなげていく。ただ、具体的な提供形態、製品への組み込み方は実証実験を経て固めていく。
さらに、ロボットや搬送装置などの自動化システムの自律動作の実現に向け、ABEJA Platformを活用したロボット行動学習環境を構築する。
この環境では、マザックの製造現場における作業データの収集、蓄積から、AIモデルの学習/評価、実機での動作検証までを一貫して実施し、ロボットや搬送装置の高度な自動化/自律化を目指す。
ヤマザキマザック、省スペースの中大型部品向け門形マシニング 最大ワーク質量3t
マザックが新研究開発拠点、機能集約で開発リードタイムを短縮へ
金属3Dプリンタの実用化が加速 DMG森精機とマザックが語るDED方式活用例
マザックは欧州で工程集約/自動化/デジタル訴求、インド製工作機械も登場
もっと自由なCNCへ〜第3期後編 PCベースCNCの登場
CNCによる機械加工の進化〜第2期後半 複合加工機と5軸加工機の登場Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク