TBM、使用済みプラの再生材で自動車部品の目標物性をクリア:リサイクルニュース

TBMは、使用済みの容器包装プラを原料とする高機能再生材「CirculeX」で、日本自動車工業会が定める再生プラの目標物性を満たす処方開発を完了した。

» 2026年10月16日 07時15分 公開
[遠藤和宏,MONOist]

 TBMは2026年10月14日、使用済みの容器包装プラスチックを原料とする高機能再生材「CirculeX」について、日本自動車工業会(以下、自工会)が公表した再生プラスチック材5種の目標物性のうち、汎用(はんよう)ポリプロピレン(PP)の2種と複合強化PPの2種の計4種で要求水準を満たす処方開発を完了したと発表した。

 現在、OEM各社の要求物性に応じた配合最適化を推進し、国内外の自動車メーカーやティア1を含む自動車部品メーカーなどの複数企業で、評価用サンプルの提供や材料評価が進んでいる。

今回の取り組みのイメージ 今回の取り組みのイメージ[クリックで拡大] 出所:TBM

欧州で求められる新型車での再生プラの活用

 世界的にサーキュラーエコノミーへの移行が進む中、自動車業界では、再生プラスチックの活用促進が重要な課題となっている。国内では改正資源有効利用促進法が施行され、欧州で発効した「ELV(End-of-Life Vehicles)規則」では、2032年9月1日以降に型式認証を受ける新型車に使用されるプラスチックのうち15%以上を使用後に回収されたプラスチック廃棄物由来の再生材とすることが求められている。

 こうした規制を背景に、自動車や部品のメーカーは、再生材の使用量を増やすだけでなく、必要な性能や安全性を備えた再生材を安定的に調達することが必要とされている。再生材は、製造工程の端材などを原料とするポストインダストリアルリサイクル(PIR)材と、使用済み製品を再生するポストコンシューマーリサイクル(PCR)材に大別される。

 品質を管理しやすいPIR材は需要の増加に伴う価格高騰や供給難のリスクがある一方、PCR材は、家庭から排出される容器包装プラスチックなども活用可能なため、PIR材よりも安定した原料の確保が期待できる。ELV規則でもPCR材の使用が要求されるなど、今後、自動車分野におけるPCR材の重要性は一層高まると見込まれている。

 しかし、家庭から回収される容器包装プラスチックなどのPCR材には、種類の異なる樹脂や異物などが含まれるため、強度や耐久性の低下、臭気、品質のばらつき、規制化学物質の管理の課題がある。

 そのため、高い材料性能や品質管理が求められる自動車部品では、これまで利用が限定されてきた。

 一方、TBMは、石灰石(炭酸カルシウム)などの無機物を50%以上含む新素材「LIMEX」の事業で培った独自の配合/混練技術と、横須賀サーキュラー工場(神奈川県横須賀市)における製造プロセスの改善を通じて、こうしたPCR材の課題に対応した容器包装プラスチックを原料とする高機能再生材であるCirculeXを開発した。

 CirculeXの「高強度+低臭気グレード」と「高強度グレード」では、TBMの自社試験において、曲げ強度と耐衝撃強度でバージンPPと同等以上の数値が確認されている。さらに、洗浄工程や材料設計の改善により、従来の容器包装プラスチック由来PCR材と比較して臭気を大幅に低減している。

 用途ごとに強度、流動性、臭気などを調整できることから、これまでPCR材の使用が難しかった自動車部品への適用に向け、国内外の企業による評価が進んでいる。

20社以上とCirculeXの自動車用途に関する商談を実施

 CirculeXの開発では、自工会が示す自動車部品向け再生プラスチック材5種(汎用PPおよび複合強化PP)の目標物性を踏まえ、処方開発を進めてきた。このうち、一般部品向けの汎用PP、ドアトリムなどに向けた汎用PP、インパネなどに向けた複合強化PP、アンダーカバーなどに向けた複合強化PPの4種で、このたび要求水準を満たす処方開発を完了した。

CirculeXの開発で完了した処方の種類 CirculeXの開発で完了した処方の種類[クリックで拡大] 出所:TBM

 これらの4種では、自工会の目標物性への対応だけでなく、OEM各社の要求物性に応じた配合最適化を推進し、評価用サンプルの提供や材料評価の段階に移行している。

 TBMは、国内外の自動車メーカーやティア1を含む自動車部品メーカー、素材/成形関連サプライヤーなど、20社以上とCirculeXの自動車用途に関する商談を行っている。対象部品や要求性能、評価条件、材料グレードなどについての協議に加え、需要の確保、調達加速に向けた評価用サンプルの準備、提供、材料評価、生産体制の構築を進めている。

 主な用途として、自動車内装部品や内部構造材、ドア周辺部品、ラゲッジ周辺部品、アンダーカバーなどの車体下部部品、フェンダー周辺部品などへの適用が検討されている。材料評価では、曲げ強度や耐衝撃性などの材料物性に加え、臭気、流動性、成形性、耐久性、品質安定性などが、各社の対象部品や要求性能に応じて確かめられている。

 TBMは、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO 9001認証」を取得している横須賀サーキュラー工場の品質/供給体制を基盤に、CirculeXの生産体制を強化する考えだ。

 加えて、国内最大級の化学産業企業/材料情報の検索システム「Sotasデータベース」を提供しているSotasとCirculeXの共同マーケティング/マッチングを推進する基本合意を締結し、調達に向けた接点づくりを強化している。

 また、再生材の流通において大きな障壁の1つである化学物質管理の不透明性の解消に向けて、分析専門企業のクリアライズと化学物質管理や品質保証スキームの共同開発に関する基本合意を締結した。

 今後は、現在進行している各社の評価結果や要求性能をCirculeXの材料設計に反映し、対象部品に応じたグレードの開発/提案を進める。さらに、再生材の調達、強度、臭気、品質のばらつき、化学物質管理などに課題を持つ国内外の自動車メーカー、自動車部品メーカー、素材/成形関連サプライヤーに対し、評価用サンプルの提供、材料グレードの設計、成形条件の検討と部品評価の支援を行う。

 各社との材料評価や用途開発を通じて、自動車部品への適用に向けた取り組みを推進し、国内で回収された使用済みプラスチックを高付加価値な自動車用途へ循環させる仕組みの構築も加速する。

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