IFS最大イベントで新産業用AI発表 対話と自律実行で「眠る40%」を解き放つ:製造ITニュース(2/2 ページ)

» 2026年10月15日 06時30分 公開
[安藤照乃,MONOist]
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対話と自律型エージェントで現場のアクションを加速する3機能

 IFS Intelligenceは、産業用AIを現場の業務に適用するための主要な機能として「Cowork(コワーク)」「Loops(ループ)」「Runway(ランウェイ)」の3つを提供する。イベントでは、IFS グローバルCTOのバイス・クマー氏、IFS Loops CEOのソミヤ・カプール氏らがデモンストレーションを交えて詳細を説明した。

「Cowork(コワーク)」「Loops(ループ)」「Runway(ランウェイ)」の3つの機能 「Cowork(コワーク)」「Loops(ループ)」「Runway(ランウェイ)」の3つの機能[クリックで拡大]

 Coworkは、ユーザーが自然言語を用いてリアルタイムの運用データに問い掛け、問題の調査やアクションの準備を行う対話型の機能である。AIが提示したアクションは、人間が承認した場合にのみ実行される仕組みだ。

IFS intelligenceのインタフェース IFS intelligenceのインタフェース[クリックで拡大]

 例えば、生産管理者が納期遅延のリスクを把握した際、チャット画面上で「代替サプライヤーの在庫状況と生産スケジュールへの影響を教えてほしい」などと尋ねると、AIが即座に複数サプライヤーの在庫や納期の違い、コストへの影響を比較して提示する。その中から最適な解決策を選ぶと、発注書の作成や生産計画の再調整といった具体的なアクションが提案され、管理者がそのまま画面上のボタンをクリックして実行を承認する。また、得られた回答をライブビューとして保持する機能や、成功した作業手順をスキルとして保存し、組織内で反復利用する機能も備える。

Coworkによるアクションの検討 Coworkによるアクションの検討[クリックで拡大]

 Loopsは、定義済みのワークフローをデジタルワーカーに委任し、バックグラウンドで実行させる機能である。デジタルワーカーとは、同社が2025年に発表した産業向けエージェント型AIだ。例えば、指定の受信トレイを監視するデジタルワーカーを設定し、顧客から送られてきた注文書のPDFデータを解析して、人間のスタッフが対応する前に自律的にシステムへ入力させるといった運用が可能になる。基本的にはシステムが処理を進めるが、最終的な判断や承認が必要な例外事象が発生した場合にのみ、人間へ通知する仕組みを備えている。専用のスタジオ機能「Agent Studio」を使えば、自然言語による指示やドラッグ&ドロップで、新しいデジタルワーカーのスキルやワークフローを構築/追加することも可能だ。

Loopsにはすでに150以上のデジタルワーカーが定義されている Loopsにはすでに150以上のデジタルワーカーが定義されている[クリックで拡大]

 Runwayは、主にシステムの導入や運用に関わる部門向けの機能となる。ユーザーが自然言語で要件を指示することで、IFS環境の移行や構成、機能拡張の作業を加速させる。具体的には、システムに新しい経費精算の承認プロセスを追加したいという要件を自然言語のテキストで入力すると、AIが数十秒で必要なコードを生成し、実装に向けたテストまでを自律的に行う。こうしたプロセスを通じて、開発やシステム移行にかかる工数を大幅に削減できるという。

AIハーネスがセキュリティを制御 人間、AI、ロボットが協調する未来へ

 これら3つの機能を実際の業務環境で安全に稼働させるための基盤として「IFS Industrial AI Harness(AIハーネス)」が組み込まれている。AIハーネスは、産業オペレーションに求められる文脈を理解し、企業が設定したルールや権限、承認プロセスの範囲内でのみAIを動作させるよう制御する。システムが権限のないデータにアクセスしたり、定められた手順を逸脱した操作を行ったりすることを防ぎ、適切なセキュリティとガバナンスを担保しつつデータからアクションへの移行を支援する役割を担う。

 モファット氏は、「今後はソフトウェア上のAIにとどまらず、物理的な労働力として、毎日毎分新しいロボットが稼働するのは“もしも”ではなくいつかの話になる」と語る。日々変化する厳しい制約の中で、人間とAI、そしてロボットという新たな労働力がいかに協調して業務を遂行できるかが、今後の製造業をはじめとする産業界の大きな焦点となるという。

 IFSは今後の事業展開において、過去の成功モデルにとらわれず、最前線の現場に特化した専任チーム「Nexus Black」を立ち上げるなど、実世界の課題解決に向けた体制を強化していく方針である。また、自社単独でのソリューション提供に固執せず、マイクロソフトやOpenAI、シーメンスといったグローバル企業との間で強固なパートナーシップとエコシステムを構築していく。産業用AIをプラットフォームとして普及させ、顧客企業の業務変革と持続的な成長を後押ししていく構えだ。

(取材協力:IFS)

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