DENPOIは、内部に熱に反応する特殊なフィルムでフタがされた約3kgの消火砂や薬剤、フィルター、通気口、緊急リーク機構を備えたペール缶で、使用済みリチウムイオン電池の発火やガス、爆発による被害を防げる。同製品は、回収した同電池が内部で発火し、環境温度が80〜90℃に達した際に、フィルムが破れ、自動的に砂と薬剤が落下し鎮火する。この砂が継続的に落ち続けるため、連続の発火や再発火を防止できる。
同電池が熱暴走時に発生するガスを直接吸い込むと、喉や肺に深刻なダメージを与える。この解決策として、同製品は、発生したガスを特殊なフィルターに通すことで有毒成分を可能な限り除去し、上部の通気口を通して安全に外部へ排出する。
また、同電池は熱暴走時に生じるガスにより密閉空間では内圧上昇で爆発を起こす危険がある。DENPOIは、内部が一定の気圧を超えた際に強制的にガスを排出する緊急リーク機構が備わっており、爆発を物理的に防ぐ設計となっている。
今回の実証では、NTTテレコンが提供するガスメーター直結型のLow Power Wide Area(LPWA)通信端末「グッとびくん・M2」や集中監視システム「テレコンスマートサービス24」を組み合わせたICT技術をDENPOIに搭載した。
これにより、内部で砂が落下したことをセンサーが即座に検知し、あらかじめ登録された管理者のメールアドレスに対して「内部で異常が発生し、システムが作動した」というアラート通知をリアルタイムで自動送信する仕組みを構築した。
電知 最高戦略責任者 CSOの高宮康太氏は「夜間など回収拠点が無人になる時間帯において、DENPOI内で使用済みリチウムイオン電池が発火し、砂が落下して自動消火が行われた場合、翌朝のスタッフが気付くまで状況が分からないという課題があった。そこで、DENPOIにグッとびくん・M2や集中監視システムテレコンスマートサービス24を組み合わせたシステムを搭載した」と語った。
なお、DENPOIに採用している筐体は20リットルのペール缶で、容量としては約10リットル分のリチウムイオン電池を収容できる。
同実証事業で回収/保管されたリチウムイオン電池の最終的な処理とリサイクルを担うのは松田産業だ。同社は、回収拠点に集まった使用済みリチウムイオン電池を、太平洋セメントグループの敦賀セメントに設置されたリチウムイオン電池専用回転式焙焼施設(福井県敦賀市)に運搬し、熱処理を行い、火災の原因となる物質を完全に除去し、無害化する。その後、熱処理を施した使用済みリチウムイオン電池を松田産業の金属資源回収プラント(埼玉県入間市)に運び、破砕/選別を行う。これにより、ニッケル、コバルト、リチウムを含むブラックマスや製錬原料、鋳物原料、脱酸材を抽出する。
同社は、電気自動車(EV)用電池のリサイクルで培ってきた高度な技術を転用し、これらのレアメタルを高純度で抽出し、再び電池の材料として市場へ供給する考えだ。
松田産業 環境ソリューション事業部 ソリューション営業部の宇野哲也氏は「レアメタルだけでなく、鉄、銅、アルミといったベースメタルも余すところなく徹底的に回収する。資源に乏しい日本において、これらを適正な施設で処理し、徹底した資源循環を行うことは、単なる環境保全にとどまらず『経済安全保障上』の観点からも極めて重要な取り組みである」と強調した。
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