PTCは、シュナイダーエレクトリックによる約226億米ドルの買収に関する最終契約を締結した。買収完了は2027年第3四半期までを予定する。シュナイダーエレクトリックは、PTCの製品設計/エンジニアリングデータと自社の運用/エネルギーデータを組み合わせ、産業AI基盤の強化を目指す。
米PTCは2026年10月5日(現地時間)、仏シュナイダーエレクトリックによる買収に関する最終契約を締結したと発表した。
シュナイダーエレクトリックは、PTCの発行済み株式の全てを1株当たり205米ドルの現金で取得する予定だ。株式取得総額は約226億米ドル(約3.6兆円)となる。同取引におけるPTCの推定企業価値は237億米ドルと評価される。
1株当たり205米ドルの買収価格は、発表前のPTC株の最終終値に対して42.3%、過去30営業日の出来高加重平均株価に対して46.1%のプレミアムを上乗せした水準となる。両社の取締役会は全会一致で同取引を承認。PTCの臨時株主総会での承認や必要な規制当局の承認取得などを経て、2027年第3四半期までの買収完了を予定する。
シュナイダーエレクトリックが今回の買収で目指すのは、製品設計/エンジニアリングから運用/保守までをカバーする産業用ソフトウェアとAI(人工知能)の基盤構築である。シュナイダーエレクトリックが有するプロセス/エネルギーデータの基盤に、PTCの製品/エンジニアリングデータを組み合わせ、設備やプラントなどの設計/構築から運用/保守までを支援する既存のプラットフォームを、上流の製品設計領域まで拡張する考えだ。
シュナイダーエレクトリックは、PTCのCADによる設計機能と、PLM、ALM、SLMによるデータ管理機能を、自社が持つ運用/エネルギー分野の専門知識と組み合わせる方針を掲げる。これにより、設計意図と実際の運用状況をつなぎ、製品や機械、プロセス、エネルギーシステムを横断する統一されたデジタルスレッドの構築を目指す。
そして、こうしたデータ基盤の構築により、AIエージェントが設計や運用の文脈(コンテキスト)を踏まえて顧客の業務を支援できるようにし、設計の迅速化や運用効率の向上、次世代製品/システムの継続的な改善につなげる狙いだ。併せて、シュナイダーエレクトリックは、傘下のAVEVAを通じて展開する産業用ソフトウェアに、PTCの技術と、買収を進めているCogniteのAI機能を組み合わせる構想も掲げる。
シュナイダーエレクトリックは、両社の顧客基盤を活用し、相互の顧客に製品やサービスを提案するクロスセルの拡大を目指す。シュナイダーエレクトリックのグローバルな事業基盤や販売チャネル、エネルギー分野の専門知識を活用することで、PTCの顧客層や事業地域を広げる考えだ。
PTCは、シュナイダーエレクトリックの傘下に入ることで得られる事業規模とリソースを生かし、技術革新や製品ライフサイクルに関する構想を推進するとともに、より多くの地域や市場に事業を広げ、顧客への提供価値を高めていくという。
さらに、シュナイダーエレクトリックは、販売チャネルと対象市場の拡大、事業地域の拡張、AIを活用したデジタルスレッドソリューションの共同開発などによる相乗効果にも期待を寄せる。買収完了後の3年目までに年間2億5000万ユーロのコスト削減を想定しており、収益面でも約8億ユーロのシナジーを見込む。
PTCとCogniteの買収を織り込んだ試算では、ソフトウェアとサービスの売上高がグループ全体の約24%を占めるという。また、PTC買収後のソフトウェア分野の従業員数は1万5000人以上、ソフトウェア事業の顧客数は5万社以上になる見通しだ。
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