業界初のPPSリサイクル技術を開発、バージン同等の品質を実現:リサイクルニュース

東レは、これまで回収が困難だったスーパーエンプラ「PPS」を、品質を落とさずに再資源化する業界初の溶媒マテリアルリサイクル技術を開発した。

» 2026年10月06日 06時30分 公開
[遠藤和宏,MONOist]

 東レは2026年9月30日、業界初となるポリフェニレンサルファイド(PPS)を含む廃材から、溶媒を用いてPPSを分離/回収する新たな溶媒マテリアルリサイクル技術を開発したと発表した。

2030年をめどに有償販売を目指す

 PPSは、優れた耐熱性や耐薬品性を有するスーパーエンジニアリングプラスチックで、自動車部品や電気/電子部品を中心に需要が拡大している。一方で、使用済み製品からの回収/再資源化は異物の分離が難しく、リサイクル技術の確立が課題となっている。さらに、PPSは優れた耐薬品性を有するため、PPSを溶解できる溶媒はほとんど存在しないという。

 また、近年は欧州を中心とした資源循環関連規制の強化を背景に、自動車業界をはじめとする各産業分野において、使用済み製品/廃材を再利用するポストコンシューマーリサイクル(PCR)の重要性が高まっている。

 こうした背景を踏まえて、同社が開発した溶媒マテリアルリサイクル技術は、廃材に含まれるPPSをモノマーまで分解することなく、ポリマーのまま選択的に溶解/分離する。モノマーへの分解工程を必要としないため、従来のケミカルリサイクルと比較して、エネルギー消費の低減と効率的な異物除去が期待できる。

 同社が長年培ってきたPPSの製造技術に関する知見を活用することで、PPSを含む廃材からPPSを選択的に溶解/晶析し、ガラス繊維などの副原料を含む異物の分離/除去を実現した。これにより、廃材由来でありながら、バージン(新品)と同等の分子量および融点を維持したリサイクルPPSを回収できる。

PPS循環フローの将来構想図 PPS循環フローの将来構想図[クリックで拡大] 出所:東レ

 同社の基礎検討における試算では、同技術を利用したリサイクルPPSはバージン原料を使用した同社のPPSと比較して、原料製造から製品製造までの温室効果ガス(GHG)排出量を約3割低減できる可能性を確認している。現在実施している実証検討でも、その削減効果の検証を進めている。

 同社は現在、基礎検討を完了し、経済産業省の「令和6年度 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(産官学連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業)」の支援を受け、スケールアップ実証を進めており、2030年をめどに有償販売を目指す。

 今後は、自動車業界やリサイクル業界をはじめとするパートナーとの連携を通じて、PPS含有廃材の回収からリサイクルPPSの再利用までをつなぐ資源循環システムの構築を目標として掲げている。

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