キオクシアは、2026年8月4〜6日に米国サンタクララで開催されたメモリとストレージのイベント「FMS: the Future of Memory and Storage」の展示内容を中心に、AIデータセンター向け製品の最新技術について説明した。
キオクシアは2026年9月3日、東京都内で会見を開き、同年8月4〜6日に米国サンタクララで開催されたメモリとストレージのイベント「FMS: the Future of Memory and Storage」の展示内容を中心に、AI(人工知能)データセンター向け製品の最新技術について説明した。
AIデータセンターの市場が急拡大したことによって需要が逼迫(ひっぱく)したのがHBMやDRAMなどの揮発メモリである。これに対して、AIデータセンターでストレージデバイスとして利用されてきたのが不揮発メモリのフラッシュメモリだ。キオクシア メモリ事業部 メモリ応用技術統括部 技術統括部長の松寺克樹氏は「DRAMと比べて読み出しや書き込み/消去のレイテンシが遅く、書き換え可能な回数も少ないフラッシュメモリは、DRAMのようにメインメモリとして利用するのは難しいとされてきた」と指摘する。
その一方で、メモリ市場の現状を見るとDRAMは供給が追い付かず価格が高騰しており、これがAIデータセンター構築のコスト増につながっている。AIデータセンターをグローバルに大規模展開するハイパースケーラーなどは、DRAMに代わってメインメモリの役割を担うデバイスを求めていた。そこで白羽の矢が立ったのが同じメモリデバイスのフラッシュメモリである。
実際に、2026年時点のチップ当たりの最大容量を見ると、DRAMが32Gビットなのに対しフラッシュメモリは2Tビットで64倍もの差がある。フラッシュメモリをメインメモリの拡張に利用できれば、価格が高騰するDRAMの使用量を抑えてAIデータセンターを構築することが可能になるわけだ。
そこで、フラッシュメモリをメインメモリに利用する上で重要なのがAIデータセンターにおけるデータのアクセス頻度分布だ。「上位20%のデータにアクセスの80%が集中する傾向があることが知られている。この上位20%のデータにアクセスするメモリにDRAMを使用し、残りの下位80%のデータとのアクセスにメモリアクセス可能なフラッシュメモリを適用するという対応が考えられる」(松寺氏)という。
そこでキオクシアが新たに開発したのが「XL-FLASH」である。XL-FLASHは、読み出し時のレイテンシが5μs以下と通常のフラッシュメモリの10分の1以下であり、書き込み/消去の回数もAIデータセンターで5年間利用可能な寿命に相当する15万〜25万回まで高めている。ただし、XL-FLASH単体では、書き込み/消去時の読み出しレイテンシが100μs以上になるという課題があり、そのままではメインメモリへの適用は難しい。
この課題を解決したのが、CXL(Compute Express Link)インタフェースとレイテンシ低減機能を集積した専用コントローラーである。XL-FLASHと専用コントローラーから成る「CXLメモリモジュール」は読み出し時のレイテンシで10μs以下を達成したことによりメインメモリとしての活用が可能になった。
実際にCPU+メモリ(DRAM/CXLメモリモジュール)+ストレージ(SSD/HDD)から成るシステムにおいて、DRAMを225GB用いる場合と比べて、DRAM148GB+CXLメモリモジュール77GBを用いる場合の性能劣化を5%以内に抑えることができた。また、DRAMのみのシステムと同じメモリコストを用いてDRAM+CXLメモリモジュールのシステムを構成すると、メモリ容量は2倍になり、性能も1.3倍になったという。松寺氏は「同じ容量であればコストを削減でき、同じコストであれば容量を増やせる。メモリ容量を増やせれば、大きなデータを扱うときの処理性能を高めることができる」と説明する。
なお、XL-FLASHを搭載したCXLメモリモジュールは間もなく顧客システムでの評価を開始するところだという。
ストレージとして用いられるSSDの性能向上でもフラッシュメモリ技術の進化は欠かせない。SSDのインタフェースは、PCIe 5.0からPCIe 6.0、PCIe 7.0へと高速化が進んでいる。特に、書き込み(シーケンシャルライト)性能は、SSDが使用できる電力の上限によって仕様の最高性能を出せなくなっている。また、読み出し(ランダムリード)性能でもPCIe 7.0からは同様の制約がかかるようになるとみられている。「ここで鍵となるのがフラッシュメモリの電力効率の向上だ」(松寺氏)。
キオクシアが新たに開発した「第10世代BiCS FLASH TLC」は、従来の「第8世代BiCS FLASH」と比べてビット密度で59%、読み出し電力効率で40%、書き込み電力効率で30%の性能向上を果たしている。さらに、改良版インタフェースチップと組み合わせたパッケージでは、容量が4TBとなり、読み出し電力効率が100%、書き込み電力効率が40%向上するという。
次世代技術の開発も進んでいる、XL-FLASHは現行の第2世代に次ぐ第3世代の開発が進んでおり、第10世代BiCS FLASHは現行のTLCの後にQLCが登場する予定だ。それぞれ、読み出し性能、書き込み性能、読み出し電力効率、書き込み電力効率がさらに向上している。
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