FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第14回は、第13回に引き続き2000年代前半のAlteraについて紹介する。同社を代表するFPGA製品「Stratix」と「Cyclone」の投入により、FPGAベンダーとして黄金期を迎えることになる。
前回に引き続き、2000年代前半のAlteraについて紹介したい。
2002年2月、AlteraはStratixをまずアナウンス(Webアーカイブを参照)。次いで同年9月にはCycloneをアナウンスする(Webアーカイブを参照)。
このStratixとCycloneの特徴として、内部アーキテクチャを統合したことが挙げられる。図1はStratixとCycloneのLE(Logic Element)の構造を比較したものだが、ご覧の通り全く同じである。
もっとも同じなのはLEの構造のみであり、全体の構成は全く異なる(図2)。
図2 左はStratix系全般の構造。右はEP1C12(12K LE)の構成。10 LEで1 LABだから、この構成だと1206 LABが搭載されている格好になる[クリックで拡大] 出所:AlteraCycloneはLEとM4K RAM Blockのみの構成だが、Stratixはこれに加えてM512 RAM BlockとM-RAM Block、それとDSP Blockが追加されている。LABの構造も若干変更されており(図3)、Cycloneの方はRow/Columnのインターコネクトが1組ずつで、そこにLocal Interconnectと接続するだけ(厳密にはRowインターコネクトにはLEから直接接続も可能だが、まぁこれはStratixも同じ)なのに対し、StratixではそもそもRow/Columnのインターコネクトが3種類用意されているのが分かる。
そんなわけで規模感は大分異なるのだが、後方互換性というか、Cycloneで動くデザインはそのままStratixに持っていく(もちろん再ビルドは必要だが)ことが可能になった。表1、2がCycloneおよびStratixとして提供されたラインアップであり、CycloneのEP1C12/EP1C20とStratixのEP1S10/EP1S20がちょうどクロスオーバーするような構成になっている。
| EP1C3 | EP1C4 | EP1C6 | EP1C12 | EP1C20 | |
|---|---|---|---|---|---|
| LEs | 2,910 | 4,000 | 5,980 | 12,060 | 20,060 |
| M4K RAM blocks (128×36bits) |
13 | 17 | 20 | 52 | 64 |
| Total RAM bits | 59,904 | 78,336 | 92,160 | 239,616 | 294,912 |
| PLLs | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| Max user I/O pins | 104 | 301 | 185 | 249 | 301 |
| 表1 Cycloneのラインアップと仕様 | |||||
| EP1S10 | EP1S20 | EP1S25 | EP1S30 | EP1S40 | EP1S60 | EP1S80 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| LEs | 10,570 | 18,460 | 25,660 | 32,470 | 41,250 | 57,120 | 79,040 |
| M512 RAM blocks (32×18bits) |
94 | 194 | 224 | 295 | 384 | 574 | 767 |
| M4K RAM blocks (128×36bits) |
60 | 82 | 138 | 171 | 183 | 292 | 364 |
| M-RAM blocks (4K×144bits) |
1 | 2 | 2 | 4 | 4 | 6 | 9 |
| Total RAM bits | 920,448 | 1,669,248 | 1,944,576 | 3,317,184 | 3,423,744 | 5,215,104 | 7,427,520 |
| DSP blocks | 6 | 10 | 10 | 12 | 14 | 18 | 22 |
| Embedded multipliers | 48 | 80 | 80 | 96 | 112 | 144 | 176 |
| PLLs | 6 | 6 | 6 | 10 | 12 | 12 | 12 |
| Max user I/O pins | 426 | 586 | 706 | 726 | 822 | 1,022 | 1,238 |
| 表2 Stratixのラインアップと仕様 | |||||||
20K LE以下で、かつ内蔵メモリが300Kビット未満でよければCyclone、これを超えるLEやメモリが必要、あるいはDSPが必要ということであればStratixという使い分けができるようになったわけだ。面白いのは、Stratixの方にはHard Copy Programが提供されており、必要なら低価格で量産出荷を可能にするオプションがあるが、Cycloneの方はこれがないことだ。ちなみに、Stratixの最初の出荷製品はEP1S25で、これが125.00米ドル(量産価格)なのに対し、Cycloneの方はローエンドのEP1C3が7.00米ドルないし4.00米ドル(前者が5万個発注時、後者が25万個発注時の価格)。より高機能のEP1C20でも、それぞれ60.00米ドル/40.00米ドルとかなりお手頃価格ではある。
ちなみに、EP1C3ですら独自プロセッサコアであるNiosを2つ動かすことが可能であり、それもあってプレスリリースでは「50DMIPSの性能を持つプロセッサが1個当たり2.00米ドル未満で利用できる」という、面白い表現になっていた。Niosは1400LE未満で実装できるので、EP1C3でもギリギリ2つ実装できる(ただし他のロジックを組み込む余地はほとんどない)からうそではないのだが、あまり現実的ではない気もする。
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