生成AIやクラウドサービスの急速な普及により、世界中のデータセンターで処理されるデータ量が増加している。この膨大なデータを効率的に保存する「大容量HDD」の重要性が高まる中、JX金属は、HDDの製造で必要となる磁性材スパッタリングターゲットの生産能力を増強する。
JX金属は2026年6月11日、ハードディスクドライブ(以下、HDD)に搭載されるハードディスクメディア(以下、HDメディア)に使用される磁性材スパッタリングターゲットについて、生産能力の増強を2026年度下期から段階的に実施すると発表した。
生産能力を増強するのは、同社の薄膜材料事業部傘下の磯原工場(茨城県北茨城市)だ。同工場では、HDメディア用に加え、HDヘッド/MRAM用の磁性材スパッタリングターゲットを生産している。
生成AI(人工知能)やクラウドサービスの急速な普及を背景に、データセンターで取り扱われるデータ量は加速度的に増加している。HDDはこうした大容量データを効率的に保存するストレージとして、データセンターにおいて重要な役割を担っており、この需要の伸びは中長期的に継続することが見込まれている。
HDDは磁気の性質を利用して記録層にデータを保存する装置だ。同社は、この記録層の成膜に不可欠な磁性材スパッタリングターゲットを長年にわたり供給してきた。
近年、HDDの記録方式は従来の「垂直磁気記録(PMR)方式」から、さらなる記録容量の大容量化を実現する次世代記録方式である「熱アシスト記録(HAMR)方式」へ移行しつつあり、実用化が進んでいる。
PMR方式は、磁化方向をディスク面に対して垂直に配置することで高密度記録を実現する、現行HDDで広く用いられている磁気記録方式である。一方、HAMR方式はレーザー光を用いてHDメディアの記録層を局所的に加熱し、従来よりも高い記録密度を実現する次世代の磁気記録方式だ。
これに伴い、HDメディアでも新たな材料の採用が進んでいる。こうした状況を踏まえて同社は、保有する幅広い材料知見と製造技術を生かして、顧客製品の性能向上に貢献するとともに、磁性材ターゲットの採用拡大を目指している。
このような状況の下、今後の需要の拡大に確実に対応していくため、磯原工場の磁性材スパッタリングターゲットの生産能力増強を決定した。今後も市場動向と顧客のニーズを注視しながら、段階的に供給体制の強化を進めていく。
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