「OSSを安心して使えない」から脱却へ、カギを握る「OSPO」とは何か製造業×DX キーマンインタビュー(1/3 ページ)

IPAと三菱電機は「OSPOレベル1構築ワークショップ」成果発表会を開催した。本稿では、この発表会の内容を紹介するとともに、主催するIPAおよび三菱電機へのインタビューの内容をお送りする。

» 2026年04月28日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 製造業の製品でもソフトウェアの比率が高まる中、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用は避けられないものとなっている。しかし、OSSを企業で安心に使うためには、ライセンスやセキュリティ、管理手法など社内で体制を整えることが求められており、そのための専門部署「OSPO(Open Source Program Office、オスポ)」設置の動きが広がっている。

 IPA(情報処理推進機構)ではこうした状況を支援するため、2025年11月〜2026年1月にかけて企業向けワークショップ「OSPOレベル1構築ワークショップ」を開催し13社が参加した。2026年4月21日には、IPA(情報処理推進機構)と三菱電機が共同で、「OSPOレベル1構築ワークショップ」成果発表会を開催し、ワークショップの成果とOSPO成立に向けた取り組みなどを紹介した。

 本稿では、この成果発表会の様子とともに、同ワークショップを主催するIPA デジタル基盤センター デジタルエンジニアリング部 ソフトウェアエンジニアリンググループ(オープンソース推進)の今村かずき氏と、ワークショップに参加し成果発表会を共催した三菱電機 オープンソース&インナーソース共創推進部 部長の追立真吾氏、同部 オープンソース推進グループマネージャーの増井翼氏への、取り組みについてインタビュー内容を紹介する。

photo 「OSPOレベル1構築ワークショップ」成果発表会の様子。リアルとオンラインで約200人が参加した[クリックで拡大]

OSSを「安心して使える社内体制」を作る「OSPOレベル1」

 オープンソースとは、ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを、誰もが閲覧、利用、開発できる開発モデル、またはそのソフトウェア自体(OSS)を指す。コミュニティーで公開されているOSSを利用するだけでなく、新たに開発したコードをコミュニティーで使えるようにする「貢献」なども求められることが特徴だ。

 そのため、IPAではOSPOを「企業や組織において、OSSを効果的かつ安全に活用し、管理し、貢献するための専門部署やチームのこと」と位置付けており、単なる管理部門ではなくOSSを社内外とつながり、共創や技術革新を推進する「橋渡し役」としての役割を担うことを求めている。

 ただ、多くの製造業でオープンソースに関する専門組織を設置しているところはまだまだ少ない。そこでIPAで一部企業からの要望を受け2025年10月から開始したのが「OSPOレベル1構築ワークショップ」である。

 「OSPOレベル1構築ワークショップ」は、企業がOSSを「安心して使う」ための社内体制が構築できた状態を「OSPOレベル1の状態」と定義し、これを実現するために複数企業の知見を共有しながら、手段や考えを具体化することを目指した。具体的には、自社におけるOSS推進の明文化と体制整備、行動計画の具体化、他社の事例やノウハウの取得を3回のワークショップで行った。

photo 「OSPOレベル1構築ワークショップ」の様子[クリックで拡大]出所:IPA

 さらにIPAでは、ワークショップでの知見を生かし、「OSPOスターターキット(ドラフト版)」と「ワークブック」を2026年4月16日に公開した。OSPOスターターキットは、OSPOの設立時または運用時に必要となるドキュメントのテンプレート集だ。また、ワークブックは、ワークショップで使用するOSPO導入や理解促進のための体験型資料だ。

photo 「OSPOスターターキット」の位置付け[クリックで拡大]出所:IPA
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