東芝情報システムと京都大学は、心拍データのカオス性を定量化する独自の「修正カオス尺度」を用いて、心拍変動と脳活動の関連性を示す新たな知見を得た。
東芝情報システムは2026年3月26日、京都大学と共同で、心拍データのカオス性を定量化する独自の「修正カオス尺度」を用いて、心拍変動と脳活動の関連性を示す新たな知見を得たと発表した。
研究グループは、27人の被験者を対象として、暗算やパズルなどの認知課題中の心拍データを、修正カオス尺度を含む複数のカオス分析指標を用いて解析した。その結果、安静時と比較して、認知活動中は心拍変動におけるカオス分析指標が顕著に上昇することを明らかにした。この変化は、自律神経活動の評価に用いられる従来の心拍変動分析法では捉えにくいものであり、カオス分析が新たな観点から脳の活動状態を評価できる可能性を示している。
心の病を抱える人は、健常者に比べて心拍の揺らぎが小さい、つまりカオス性が低いことが報告されている。このため、今回確立された分析手法は「こころ」の健康や脳の健康を探る簡易なスクリーニング指標としての応用が期待される。
同社は今後、医療分野での応用検討と連携を強化するとともに、同社が有するデータ分析技術とカオス分析を組み合わせることで、製造や金融、IoT(モノのインターネット)など多様な産業領域へ同技術を展開する方針だ。カオス分析ツールとして多領域向けカオス分析プラットフォームの製品化も目指している。
ウェアラブルデバイスの普及で心拍データが容易に取得できるようになった一方、脳活動の計測には高額な設備や行動制限が伴うという課題があった。東芝情報システムはこれまでに、京都大学との共同研究を通じて時系列データの複雑さを定量評価する修正カオス尺度を提案してきた。今回の成果は、この独自指標が医療やヘルスケア分野で実用的な価値を持つ可能性を示すものだ。
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