燃料電池とは何か?燃料電池と構成材料の基礎知識(1)(2/3 ページ)

» 2026年04月22日 07時00分 公開

3.燃料電池の発電原理とは

 前置きが長くなりましたが、燃料電池の発電原理を図1に示します。単セルと呼ばれる電池の最小単位の中央には、水素イオン(H)が移動できる固体高分子膜(プロトン交換膜)があります。

 その膜を挟む形で電極が配置されます。一方は、水素の酸化反応を促進する触媒層(アノード触媒層)が、反対面には酸素の還元反応を促進する触媒層(カソード触媒層)が電極として働きます。

 セルの一番外側には水素および酸素(実際の燃料電池では主に大気中の酸素を利用)を流すための流路が形成されたセパレーターが配置し、セル内部の材料を挟み込んでいます。触媒層とセパレーターの間には、ガスが触媒層に均一に拡散するように拡散層が置かれています。各材料の詳細については次回以降に解説します。

図1 固体高分子形燃料電池の基本構成(単セル) 図1 固体高分子形燃料電池の基本構成(単セル)[クリックで拡大]

 セル内に水素および酸素が供給されると、各電極で次のような反応が進行します。

(5)アノード:H2→2H+2e

(6)カノード:O2+4H+4e→2H2O

 全反応式は式(4)になることが分かります。アノードでは水素が触媒(次回以降で解説)の作用で水素イオンと電子に分離されます。電子は外部回路を通り、外部負荷で電気エネルギーとして利用されます。

 水素イオンは膜中をカソードへ向かって移動します。カソードでは、外部回路を通ってきた電子と膜中を移動してきた水素イオンが、触媒の作用で最終的に酸素と反応することで水が生成されます。これで燃料電池の反応が完結し、排出されるのは水だけですので、非常にクリーンな電気エネルギーが得られます。

4.実際の燃料電池の形態

 図1に示したのは、電池の最小単位のセルです。この場合、25℃の条件で理論的に1.23Vの電圧が得られます。もっと高電圧が必要な場合は、図2に示したように単セルを積層していき、必要枚数を直列に接続したスタック(stack)と呼ばれる形態で発電します。

図2 固体高分子形燃料電池の単セルの構成とスタック 図2 固体高分子形燃料電池の単セルの構成とスタック[クリックで拡大]

 例えば、図3のように3枚のセルを積層した場合、得られる理論電圧は1.23V×3=3.69Vになります。スタック内の電子の移動経路は、図中に示した通りアノードからセパレーターを通じて隣のセルのカソードへ移動します。セパレーターは、隣接するセルの水素と酸素を分離しつつセル内にガスを流通させる機能を持ち、かつ電子を通すために抵抗が小さい材料である必要があります。

図3 燃料電池スタックの作動の様子 図3 燃料電池スタックの作動の様子[クリックで拡大]

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