リコールは基本的に、ユーザーやその財産に危害を加える可能性のある安全性に関わる品質不良が対象となる。
安全性の中でも特に重大な問題になると想定される内容は、各国で安全規格として法令に定められている。しかし、重篤な問題にはならないと想定される内容は安全規格に定められていないことも多い。それでも、実際にはそれが原因でリコールになる製品は少なくない。
例えば、日本の電気用品安全法に基づく安全規格であるPSEを満たした2次バッテリーを製品に組み込んでいても、実際には発火事故が発生した製品もある。
また、安全性の欠如だけがリコールにつながるわけではない。連載第1回で紹介した突然動作しなくなったミラーレスカメラは、設計プロセスにおける信頼性の欠如が原因であるが、ユーザーに危害を与えるものではないため、リコールの対象にはならない。
しかし、製品の故障によってユーザーに危害が及ぶ可能性が生じれば、リコールの対象となる。例えば壁掛けテレビにおいて、壁掛け金具のビスが日常の軽微な振動で緩み、テレビが落下してユーザーがケガをするような場合である。この場合、壁掛け金具が信頼性の欠如によって破損し、その結果として安全性が損なわれた状態になったといえる。
また、設計プロセスまたは量産プロセスにおいて製造性への配慮が不足していると、製品が正しく組み立てられない可能性がある。その結果、製品の安全性を損なう状態になり、リコールにつながる場合もある。図2下段の例は、その典型的なケースである。
以上をまとめると、図4のようになる。
ここまでの内容を図5に整理する。
設計プロセスと量産プロセスにおける「製品を作製」する作業において、設計プロセスでは設計品質である「安全性」「信頼性」「製造性」への配慮が必要であり、量産プロセスでは量産品質である「製造性」への配慮が必要である。
また、「品質を確認」する作業においては、設計プロセスの「審査」と「試験」によって設計品質を確認し、量産プロセスでは「受入検査」「工程内検査」「出荷検査」「監査」によって量産品質を確認する。
そして当然のことながら、設計品質の確認内容は「安全性」「信頼性」「製造性」であり、量産品質の確認内容は「製造性」である。
このように、品質確認は設計プロセスと量産プロセスの双方において、多くのフィルターを通して行われている。つまり、理論上は品質不良が市場に流出しないよう、十分な確認体制が構築されているのだ。
しかし、それでもリコールは発生してしまう。
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