アイティメディアにおける産業向けメディアのMONOist、EE Times Japan、EDN Japanは、オンラインセミナー「MONOist DX & AI Forum 2025〜製造業DXの未来とAIの可能性〜」を開催。本稿では「BOPを中心としたブラザーグループのものづくりDX」をテーマに、ブラザー工業 品質・製造センター 技術開発部の西村栄昭氏による基調講演の一部を紹介する。
アイティメディアにおける産業向けメディアのMONOistは、「MONOist DX & AI Forum 2025〜製造業DXの未来とAIの可能性〜」(2025年12月10〜12日)を開催した。セミナーでは従来のDX推進の取り組みに加え、AIやデータ活用も視野に入れた実践的な変革をテーマに取り上げた。ここでは、ブラザー工業 品質・製造センター 技術開発部の西村栄昭氏による基調講演「BOPを中心としたブラザーグループのものづくりDX」の一部を紹介する。
ブラザーグループは長年主力商品として知られていたミシンが売上構成比10%を切り、現在は「プリンティング・アンド・ソリューション事業」や「インダストリアルプリンティング事業」など、プリンタを中心とした情報機器が大半を占めている。売上高は順調に推移しており2024年度の売上高は8766億円を記録した。
海外を中心にオペレーションを展開しており、40以上の国や地域に生産拠点、販売/サービス拠点を設けている。売上高の約8割が海外からの収益であり、生産比率も8割以上が海外だ。従業員は約4万3000人だが、日本人比率については2割強で、ブラザー工業の特徴的なオペレーションの1つの要因となっている。
同社は中期計画としてブラザーグループビジョン「At your side 2030」を定め、B2Bビジネスを強化する変革を進めている。それを支えるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略として、「ビジネスDX(各事業のビジネスモデル変革)」「オペレーショナルDX(強靭かつ持続可能なサプライチェーンの構築)」「DX基盤構築(デジタルの徹底活用と人材教育)」の3つを柱として推進している。この内、西村氏はオペレーショナルDXを担当している。
西村氏が入社した1990年代当初、製品の販売は小売店だけで、生産/開発は日本で行い、調達も1社だけという状態だった。その後はグローバル展開が進むなど、開発/生産/販売/調達の各領域で複雑な形へと変化している。この結果、従来のExcelやスプレッドシートだけでは対応が難しくなってきた。さらに関税問題や地政学的な要素、ロジスティクスの問題が加わることにより、その課題解決のためにデジタル技術を活用していく流れとなった。
ブラザーグループのオペレーショナルDXは、「SCM改革」「調達IT実現」「コンカレント情報拡大」「持続可能なリバースサプライチェーン」「データ利活用」「ナレッジマネジメント」の6つの基本戦略(テーマ)を設定している。
その中で、まず、BOP(Bill of Process、工程管理表)をオペレーションDXの中核と位置付けて、生産性向上のPDCAサイクルを回すための環境整備を活動のスコープとした。
BOPを導入した背景には、アジアに複数の生産拠点がありオペレーションが複雑になっていたことがある。最需要期に適切に新製品を投入するためにはBOPという考え方を使い、デジタルで密結合して各工程/各作業をつないでいく必要性があった。「例えば、われわれは製造管理のために、各拠点の言語に対応した標準化された帳票が必要となる。そのためBOPの導入で帳票出力をシステム化することにより帳票の標準化と自動翻訳を実現している」(西村氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク