増える工場の汚泥問題、独自乾燥機で処理費用を7割削減するパナソニックの勝算FAインタビュー(1/2 ページ)

パナソニック環境エンジニアリングは、製造業が抱える汚泥処理の課題に対して、ヒートポンプ式の汚泥乾燥機を展開し、課題解決に貢献している。本稿では、同社が展開するヒートポンプ式汚泥乾燥機に焦点を当てて紹介する。

» 2026年01月27日 06時00分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 環境規制などが強まる中、排水処理に伴う汚泥の増加とその処理に掛かる廃棄費用の負担増は、製造業にとって大きな課題となっている。そんな中、パナソニック環境エンジニアリングはヒートポンプ式の汚泥乾燥機を展開し、汚泥処理における課題解決に貢献している。

 今回は同社がヒートポンプ式汚泥乾燥機を展開する背景や構造の特徴について、パナソニック環境エンジニアリング マーケティング本部 環境ソリューション営業開発部 環境ソリューション営業ユニット グループリーダーの伊藤忠氏と、同社 マーケティング本部 環境ソリューション営業開発部 環境ソリューション営業ユニット 副主査の関口佐織氏に話を聞いた。

パナソニック環境エンジニアリングの取り組みと汚泥処理における課題

パナソニック環境エンジニアリングの関口氏 パナソニック環境エンジニアリングの関口氏

 パナソニック環境エンジニアリングは1976年に創業し、2026年度で50周年を迎える。同社の事業領域は水、空気、土、エネルギーの4本柱となっており、それぞれの分野で課題を解決する機器や設備の企画提案から施工、メンテナンスまで一気通貫したソリューションを提供している。関口氏は「近年はカーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーの推進を事業方針としている」と語る。

 同社では排水処理設備から発生する汚泥の廃棄費用が顧客にとって大きな負担になっている部分に以前から着目しており、海外における事業展開の過程で国内では未発売のヒートポンプ式汚泥乾燥機の発売を検討したという。関口氏は「この技術はわれわれの事業方針と顧客のニーズに合致している商品であり、高い市場性を感じている」と強調する。

ヒートポンプ式の汚泥乾燥機の外観 ヒートポンプ式の汚泥乾燥機の外観[クリックして拡大] 出所:パナソニック環境エンジニアリング

 環境省が公表しているデータによると、全産業廃棄物の内42%以上が汚泥となっており、その量は年間で約1億5400万トンに及ぶ。この中から国内製造業の主要業種に関する汚泥発生量は約5500万トンである。

産業廃棄物の排出及び処理状況 産業廃棄物の排出及び処理状況[クリックして拡大] 出所:パナソニック環境エンジニアリング

 多くの事業者は、汚泥を含めて増える産業廃棄物の処理費用や貯蔵スペースについて課題を抱えている。工場に存在する排水処理施設から余剰/凝集沈殿汚泥が発生するが、濃縮しても含水率が98〜99%と高い状態である。そのため、さまざまな脱水方式で水分を抜き、含水率80%まで削減してから産廃処理をするのが一般的である。

 この含水率80%の状態である汚泥をさらに乾燥させて、含水率を30%まで削減することで、処理費用を約7割削減できるという。「汚泥のほとんどが水分のため、乾燥させて水分を飛ばすことで、汚泥処理の量について大幅な削減が可能になる。われわれの狙いとしては、汚泥の減容化によって処理コストと貯蔵スペースの削減に貢献し、新商材として新規顧客の開拓と既存領域の拡大を目指している」(関口氏)。

汚泥乾燥機導入の狙い 汚泥乾燥機導入の狙い[クリックして拡大] 出所:パナソニック環境エンジニアリング

 パナソニック環境エンジニアリングでは、現在4機種の汚泥乾燥機をユニット製品として展開するために計画/準備をしている。特に国内市場であまり流通していない中型から大型機種をラインアップしている。他のメーカーが展開している製品の大半は小型のものが多いため、ここに中型/大型機種を市場に投入することで、汚泥処理に対する課題解決に向けて貢献していく。

ヒートポンプ式の汚泥乾燥機のラインアップ内容 ヒートポンプ式の汚泥乾燥機のラインアップ内容[クリックして拡大] 出所:パナソニック環境エンジニアリング
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