経常収支で見る海外との関係、海外法人への直接投資が急拡大する日本の現状小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(43)(1/3 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は経常収支と海外との関係について解説します。

» 2026年01月26日 08時00分 公開

 前回は、日本の経済活動や日本企業の経営にも大きな影響を与える海外事業(対外事業)の位置付けについて紹介しました。日本企業が、国内で作ったものを海外に売る輸出から、海外で作ったものを海外に売る海外事業を大きく伸ばしている状況が見えましたね。

 さて、今回は日本の経済活動の中で、海外との関係を総合的に把握できる「経常収支」と、貿易や直接投資との関係性を解説していきます。

⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」のバックナンバーはこちら

経常収支とは何か?

 経済活動のグローバル化が進んできた中で、日本企業の経済活動も海外との関係性がより強まってきました。企業活動の海外との関係の中で大きなものは「貿易」と「対外活動(直接投資)」です。このような日本と海外との関係が統計的に集計されたものが日本銀行の「国際収支関連統計」です。

 その中で、日本と海外との取引の収支を総合したものは経常収支と呼ばれます。経常収支とその中身を見ると、海外との取引関係がどのように変化してきたのかが一目で分かります。

 まずは以下のグラフ(図1)を見てみましょう。図1は、日本の経常収支について、項目別の推移をグラフ化したものです。

photo 図1 日本の経常収支[クリックで拡大] 出所:日本銀行 国際収支統計を基に筆者にて作成

 プラス側(上側)が海外から受け取った金額、マイナス側(下側)が海外に支払った金額として表現されています。日本と海外との関係で、日本が対価を受け取る取引があれば、支払う取引もあるということです。

 例えば、貿易の中で輸出は相手国にモノを販売し、代金を受け取りますので受け取り側(プラス)に記録されることになります。このような実物の取引に伴った海外との受け取りと支払いと、それ以外の受け取りと支払いも含めた合計の収支が経常収支と呼ばれます。

 グラフを見ると、日本の経常収支は支払い側も受け取り側も拡大傾向が続いており、正味の経常収支は基本的にプラスで推移しています。海外とのやりとりでは、合計すれば常に受け取る側の方が多いことになります。ちなみに、2024年は29兆円のプラスでした。

 貿易収支サービス収支を合わせた「貿易・サービス収支」を見ると、近年ではややマイナスが続いていることになります。かつては輸出が多く、海外に対して輸出による超過分が多かったことからすると大きく変化していることが読み取れます。

 貿易についての統計は、以前の連載記事で取り上げておりますので、こちらの記事もご参照ください。

第一次所得と第二次所得

 グラフを詳細に見ていくと、経常収支の中でも、貿易面以外に「第一次所得」の存在感が高まっています。しかも受け取り側が大きく超過していて、経常収支を大きく引き上げている様子が分かります。逆に、「第二次所得」は第一次所得と比べて規模が小さく、支払い側が超過しています。

 この第一次所得、第二次所得とは何でしょうか。特に第一次所得がキーとなりそうです。

 日本銀行の資料(国際収支関連統計 項目別の計上方法)から、それぞれの意味を引用してみましょう(表1)。

photo 表1 経常収支の詳細[クリックで拡大] 出所:日本銀行 国際収支関連統計から筆者が作成

 第一次所得とは、生産過程に関連した所得および財産所得とされていて、具体的には労働者として海外で働いた際に受け取る雇用者報酬と、海外への投資から得られる投資収益などです。実体取引に伴う貿易収支、サービス収支とは性格の異なる海外からの所得となるわけですね。

 第二次所得とは対価の伴わない経常移転による再配分で、政府によるODA(政府開発援助)のうち一部などが含まれます。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR