上記の注意点を見逃して、あるいは勘違いしてCS図構築を誤った例と正しい例を示す。(正しい例とは、唯一の正解ではない)。この例の題材は、JASA(組込みシステム技術協会)のSTAMP広場から流用した。
図3は、一般的な企業の小規模ネットワークを分析対象として、ステークホルダー間でシステム概要の認識を共有するために作成したシステム構成図(ポンチ絵レベルの概念図)である。
そして、この開発案件の関係者は、悪意ある攻撃からシステムを守るため、赤枠で囲った部分の安全確保が重要と考えている。
図4は、システム仕様を実現するためのシステム構成図をそのままCS図として使った、誤ったCS図の例である。前述した図3のシステム構成図の黒枠で囲った社内ネットワークシステムのコンポーネントを全てCS図に組み込んで、配置を変えただけのモデルになっている。
アクシデント/ハザードが絞り込めていれば、直接関与しない構成部分は省略、抽象化できる。この社内ネットワークシステムの分析においては、「ネットワーク装置に関連するアクシデント/ハザードについて安全分析する」ことをステークホルダー間で認識共有しているので、図4で挙げた誤ったCS図に対して次の点を修正した。
そして修正された正しいCS図の一例が図5である。
本記事で解説したCS図作成の重要ポイントは以下のようにまとめられる。
これらの重要ポイントは、CS図構築後のレビューの観点ともなる。レビューの観点は他にもある。
これらのレビューの観点について本記事では詳述しないが、レビュー時のチェック項目として参考になれば幸いである。
次回は、UCA(非安全なコントールアクション)の書き方についてのTipsを紹介する。(次回に続く)
石井 正悟(いしい しょうご)
京都大学理学部卒業後、東芝にてOSカーネル、仮想計算機、システム高信頼化技術、システムシミュレーション技術の研究開発に携わる。その後IPAにて、STAMP、FRAMなどの安全性解析手法の調査研究に従事。STAMP普及促進のため、書籍「はじめてのSTAMP」シリーズ発行、STAMP支援ツール「STAMP Workbench」開発や各種教材作成などを担う。現在はIPA専門委員としてSTAMP普及活動に関わる。
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