早稲田大学、テムザック、村田製作所などが中心となって日本発の新たなヒューマノイド開発を目指すコンソーシアム「KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)」への参画を発表した住友重機械工業のブースでは、高バックドライバビリティを持つ小型サイクロ減速機が出展された。
実際に下半身型の二足歩行ロボットに適用した例がデモされ、「ヒューマノイドにぴったりだ」とアピールされていた。また2025年日本国際博覧会「大阪・関西万博」の石黒館に出展されたアンドロイドアバター「Yui」も静展示されていた。
直感的作業を可能にする独自のバイラテラル力制御を他社に提供するビジネスを展開しているスタートアップの人機一体は、40小間の大型展示で登場。合計10社のパートナー企業と開発中の各ロボット技術を出展した。大型セミヒューマノイド「ZIZAI ZX-3」は人機一体の技術を使った日本信号製のロボットで、高所作業車のバケット上に搭載され、腕先端にチェーンソーツールなどを付けることで高所作業を代替することができる。
この他、同社が現在開発中の等身大サイズヒューマノイドの試作機「一零式人機ver.1.0」も公開された。同社は2024年10月にアニメ監督、デザイナーの河森正治氏による「人型重機」のコンセプトスケッチを公開しているが、その中身となる予定のロボットだ。
地上では脚で移動することができ、高所作業車のバケットに搭載された時は4本腕で作業するというコンセプトである。作業のための汎用ツールチェンジャーも開発する。
なお、同社 CEOの金岡博士氏の一押しは、複合遊星歯車機構を使って最大一万倍程度までの超高減速比を実現する高出力アクチュエータ「人機連星減速機」。単純な機構で軽量、大中空径、高バックドライバビリティ、特定の歯形や特殊な関数に基づく歯形を必要としないといった利点を持ち、事業化するパートナーを求めているとのことだった。
人機一体では自在に操れるロボットを「拡張身体」と捉えている。フィジカルAI時代において優位性を確保するためにも、フィジカルな身体たる拡張身体が重要だというスタンスで、現在のQDD活用はやがて限界が訪れると見る。
これをヒューマノイドと言っていいかどうかは分からないが、減速機のナブテスコブースに出展された、ツバメインダストリの4mサイズの搭乗操作型ロボット「アーカックス」は動作デモのたびに多くの人を集めていた。
スペースの都合のため、コックピットハッチの開閉や上半身の動きのみを披露した。外国からの来場者も写真や動画を撮影していた人が多かったように思う。新型でもナブテスコの製品を活用する予定とのことだ。
会期の最終日(2025年12月6日)のみ南ホールで開催された小中高生向けイベント「つくるさわれる国際ロボット展」には、ソニーグループが開発中の介護用見守りロボット「HANAMOFLOR(ハナモフロル)」も登場し、多くの子どもたちと触れ合っていた。周囲はかなりザワザワしていたが、それでも人の声をきっちり聞き取って対応できる技術には驚いた。
HANAMOFLORはソニーグループが開発しているヒューマノイドの割にはあまり目立っていないが、現在、事業化検討のためのパートナー企業を広く募集中とのことだ。なお、ソニーグループはTHKと共同でヒューマノイドを想定したアクチュエーターを開発すると発表している。
「勇者ロボ」を開発する有志によるサークルである勇者技術研究所の「ファイバリオン」は遠隔操作体験を実施。上半身と手指だけだが、多くの子どもたちと大人が遠隔操作を楽しんでいた。ファイバリオンが完成した暁には、1人乗り乗用車から人型ロボットへと変形できるようになる予定のロボットで、普段は秋葉原「SEEKBASE(シークベース )」で展示されている。アクチュエーターは独自開発している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク