モベンシスは「IIFES 2025」において、アイ・エル・シーのソフトPLC機能を統合した「WMX3」を出展した。既存のプログラムを活用しつつ、セキュリティやデータ収集に優れたIPC制御への移行を実現する新ソリューションとして提案する。
モベンシスは「IIFES 2025」(2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト)において、同社のソフトウェアベースのモーションコントローラー「WMX3」に、ILC(アイ・エル・シー)のソフトウェアPLC(プログラマブルロジックコントローラー)機能を実装したバージョンを初展示した。
この技術融合は、アイ・エル・シーとの技術提携によるもの。モベンシスのWMX3に、アイ・エル・シーが有する国際規格IEC 61131-3準拠のソフトウェアPLC機能を統合した。これにより、ユーザーはハードウェアのPLC上にある過去のプログラムや開発ノウハウを活用しながら、ハードウェア構成のみをIPC(産業用PC)へ移行することが可能となる。
開発の背景には、「半導体産業を中心にエンドユーザーからの強い需要があった」(モベンシスの説明員)という。近年、台湾の半導体EMS(製造受託)企業などを筆頭に、装置メーカーに対して従来のPLCではなく、IPCベースの制御を指定するケースが増加している。その主な要因は、セキュリティ対応とデータ活用の促進だ。IPCはPLCと比較して、市販のセキュリティソフトウェアのアドオンが容易なため、サイバーセキュリティ対策がしやすい。また、製造データの蓄積や解析といったデータ収集能力の拡張性においても、ハードウェアベースよりソフトウェアベースのシステムに優位性がある。
一方で、既存の装置メーカーにとって、IPCへの移行は開発リソース面でハードルが高い。IPCベースのコントローラーの開発には通常、C言語など高級言語でのプログラミングが必要になるが、これまでPLCを使っていた技術者の多くは、PLC特有の開発環境に慣れ親しんでおり、早期の移行は困難だった。
そこでモベンシスは、20年以上のソフトウェアPLC開発実績を持つアイ・エル・シーと技術提携することで、慣れ親しんだ開発環境のまま、より拡張性の高いIPCベースのコントローラーへの移行を実現した。
ブースでは、開発中のソフトウェアPLC環境を用いて、ラダープログラムでXYZステージ(位置決め制御)を駆動させるデモ機を披露した。
モベンシスは、ハイエンドなモーション制御技術とアイ・エル・シーのソフトPLC技術を融合させることで、市場ニーズへの即応と信頼性の両立を図る。本製品は年内の正式リリースを予定しており、半導体製造装置メーカーや、装置の内製化を進める大手エンドユーザー企業への導入拡大を目指すとしている。
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