2025年度上期の世界生産は2年ぶりの増加、足元でネクスペリア問題が陰を落とす自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

» 2025年11月25日 06時30分 公開
[MONOist]

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2025年度上期の世界生産台数は、前年同期比6.0%増の498万5122台と2年ぶりにプラスへ転じた。このうち海外生産は、同7.2%増の339万9500台と2年ぶりに前年実績を上回るとともに、年度上期として過去最高を更新した。地域別では、主要市場の北米は、底堅い需要や「カムリ」「シエナ」などのHEV人気の他、前年に運転席エアバッグのリコールによる「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産を停止していた反動もあり、同11.5%増の114万4343台と2年ぶりに増加した。

 さらに中国も、新型EV「bZ3X」やHEVの好調、政府の補助金政策と連動した販売促進策などが奏功し、同9.4%増の80万3762台と3年ぶりに前年実績を上回った。中国以外のアジアも、主要市場のタイは自動車ローンの厳格化など厳しい市況が続いている中、新型「ヤリスエイティブ」の好調や販売施策の奏功により同5.2%増の28万9477台と3年ぶりにプラスへ転じた。インドネシアもローンの厳格化が続いているが、輸出需要の拡大により同5.3%増の13万6041台と2年ぶりのプラス。インドは「アーバンクルーザーハイランダー」や「イノーバハイクロス」などの販売好調が続いており、同6.4%増の20万6733台と6年連続で増加した。その結果、アジアトータルでは同7.1%増の160万8218台と2年ぶりにプラスを確保した。

 欧州は、英国が前年のゼロエミッション車販売割合義務付け(ZEVマンデート)により落ち込んだ反動もあり同4.7%増と増えたが、トルコで2023年に生産開始した新型「C-HR」の反動減で同13.3%減と落ち込んだ他、欧州市場ではEV需要の盛り返しに伴うHEVの一服感などもあり、欧州全体では同3.7%減の38万1513台と2年ぶりに減少した。

 国内生産は、前年同期比3.4%増の158万5622台と2年ぶりのプラスとなった。前年が、「プリウス」の後席ドアハンドルの不具合によるリコールで4月上旬〜6月中旬に稼働を停止。生産工程の確認のため「ノア/ヴォクシー」と「アルファード」も4月上旬〜中旬に停止した。さらに、6月に発覚した認証不正問題により、「ヤリスクロス」「カローラフィールダー/アクシオ」の生産を9月上旬まで停止したなど、前年に主力モデルの生産を相次ぎ停止した反動増が表れた格好だ。輸出も、主力の北米をはじめ、欧州やアジア、アフリカ向けなどがけん引し、同9.0%増の100万1405台と2年ぶりの前年超えとなった。

 足元でも好調は続いている。9月単月の世界生産は、前年同月比11.1%増の91万8146台と4カ月連続のプラスで、9月の世界生産として過去最高を記録した。けん引役は海外生産で、同12.4%増の61万6520台と8カ月連続で前年実績を上回るとともに、9月の海外生産として過去最高を更新。地域別では、主要市場の北米は、HEV人気の他、前年にレクサスTXとグランドハイランダーを生産停止した反動増により同19.8%増の19万7341台と8カ月連続のプラス。北米に生産拠点を構える5社で唯一2桁%増となった。

 中国も好調で、同16.2%増の15万5629台と2カ月ぶりに増加した。中国以外のアジアは、インドネシアがローン審査の厳格化に加えて追加課税の導入などにより同4.0%減の2万1920台と落ち込んだが、タイは同15.2%増の5万1407台、インドは同20.0%増の3万8941台と伸長し、アジアトータルでは同13.2%増の29万5341台と2カ月ぶりに増加した。欧州は「ヤリス」の好調がトルコの落ち込みをカバーした結果、同1.1%増の7万7926台とプラスを確保し、2カ月ぶりに増加した。

 国内生産も好調だ。9月単月は前年同月比8.5%増の30万1626台と2カ月連続の前年超え。前年に認証不正でヤリスクロスとカローラフィールダー/アクシオの生産を停止していた反動増が発生した他、輸出も同27.9%増の19万4603台と9カ月連続で増加したことも国内生産を押し上げる要因となった。

ダイハツ工業

 グループ傘下のダイハツも、前年の認証不正問題からの回復が進んだ。2025年度上期の世界生産台数は、前年同期比7.6%増の73万8881台と3年ぶりに前年実績を上回った。前年が認証不正で稼働停止していた国内生産が大きく伸長した。その国内生産は、3〜4月に中央発條の爆発事故による稼働停止が発生した他、仕入れ先からの部品供給の不足で7月に滋賀工場(滋賀県竜王町)と大分第2工場(大分県中津市)で稼働を停止したものの、新型「ムーヴ」の販売好調などもあり、同27.0%増の38万3738台と6年ぶりにプラスへ転じた。内訳は軽自動車が同24.3%増の26万7588台、登録車は同33.6%増の11万6150台だった。

 一方、海外生産は低調だ。2025年度上期は前年同期比7.6%減の35万5143台と2年連続で減少。8社の海外生産で最大の落ち幅となった。要因はインドネシアが自動車ローンの金利上昇などにより市場が低迷していることで、同16.4%減の17万5993台と3年連続の前年割れとなった。一方、マレーシアは好調で、同3.1%増の17万9150台と4年連続で増加。前年に続き、年度上期の過去最高を記録した。

 足元でも状況は大きく変わらない。9月単月の世界生産台数は前年同月比1.0%増の13万4791台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。国内生産は同2.7%増の7万7695台と2カ月連続のプラス。軽自動車が同13.9%増の5万7785台と好調だった半面、登録車は同20.1%減の1万9910台と落ち込んだ。海外生産は同1.2%減の5万7096台と5カ月連続のマイナスだった。マレーシアは同11.3%増の2万5430台と好調で2カ月ぶりに増加したものの、依然としてインドネシアが厳しく、同9.3%減の3万1666台と26カ月連続で減少した。

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