世の中にさまざまな製品がありますが、それぞれに特有のデータが存在します(図4)。
自動車ならば、車両制御に必要な物理定数など、ECサイトならば、商品価格や在庫数などの商品データがあるでしょう。
データ設計では、システムが扱うデータを整理し、その構造や関係性を定義する作業です。
今回は、イントロダクションとして、ECサイトにおける商品の登録/購入に関わる一連のサイクルを題材として、データを整理し、データの流れをイメージしましょう。
過去2回の画面設計から、必要なデータを把握します。
ここから、似たもの同士でまとめます。筆者は、下記に示す通り、「商品データ」と「注文データ」にまとめました。
似たデータをまとめていくと、おおよそ上記のようになるでしょうが、正解はありません。例えば、商品名と在庫数は似ているようで似ていないと判断し、「商品データ」と「商品詳細データ」と分けてもよいでしょう。
次に、まとめたデータがどのように変わるかイメージ図で整理します(イメージできるなら飛ばしてもOK)。
図5は、商品登録とサイトの閲覧に関するイメージ図です。
店担当が商品データをサイトに登録します。例えば、下記の通りです。
商品データを基に、サイトに商品を表示します。顧客は、その商品を閲覧し、購入するか判断します。
商品購入に関するイメージ図を図6に示します。
顧客は、商品の購入時に顧客情報を入力します。
注文確定すると、顧客が入力した注文データを保存します。その後、在庫数を減らせば完了です。
今回は、データ設計のイントロダクションとして、処理とデータの関係性と、ECサイトを題材として、データとその流れについて整理してみました。
プログラムは、処理とデータの組み合わせで成り立っているため、どちらも整理する必要があります。データ設計の第一歩は、どのデータが必要で、どのように変わるか把握することです。(次回に続く)
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人間環境大学 環境情報学科 教授(工学博士)
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