戦略発表会では続いて、NTTドコモビジネス 代表取締役副社長CROの金井俊夫氏が登壇し、各産業が現場にAIやIoT機器を導入する際のセキュリティ課題を指摘した。
金井氏は、エンドポイント側となる多くの産業機械やIoT機器には、セキュリティ用ソフトウェアを導入できない実態があると述べ、これを前提にしたネットワーク側での対策の重要性を強調した。
そこでNTTドコモビジネスは、クラウド型ネットワークでのNaaS型サービス「docomo business RINK」と「docomo business SIGN」に、新たにセキュリティ機能を搭載して提供する(docomo business RINKは提供開始済み、docomo business SIGNは2025年12月提供開始予定)。
docomo business RINK、docomo business SIGNには、WAN(広域ネットワーク)セキュリティもしくはWANセキュリティとほぼ同じのセキュアドIoTネットワークが搭載されている。ロボットやIoT機器などがインターネットやクラウドなどに接続する際、このセキュリティを介して接続することで、異常検知や機器同士の群制御を実現し、運用の簡素化と迅速な対応を図るという。
docomo business RINK、docomo business SIGNの両方に搭載するセキュリティ機能の1つである「脅威検知・遮断」は、ネットワーク内で検知した脅威をポータル/API経由で顧客に通知し、不正通信の遮断まで対応できる仕組みだ。例えば、AIが外部情報を収集する過程で混入したウイルスが攻撃者サーバと通信しようとした場合に、それを検知して通信を遮断し通知する、という動作を説明した。
また、docomo business RINKには「ふるまい検知」「フローコレクター」機能も搭載される。ふるまい検知は、例えばAI搭載の産業機械やIoT機器が通常とは異なる通信や兆候を示した際に、AI技術を用いて検知し、ポータル経由で顧客へ通知する機能である。これにより、インシデント被害の拡大を抑止し、内部不正対策や初期対応を支援する。
フローコレクター機能は、通信キャリア側でWAN通信のフローデータを取得/保存するもので、通信ログが不足する環境でも不正通信先の特定や調査を迅速化し、被害最小化を図る運用モデルを提示した。全機器にログ収集の機能を導入するコスト負担を回避しつつ、合理的にセキュリティ監視を行うという。
金井氏はこれらNaaS型サービスのほかに、コンピューティングの高発熱化に対応する液冷方式対応データセンターやコンテナ型データセンターの整備を紹介。さらに、AI時代のICTインフラ管理はAIの自律的動作を前提にパフォーマンスや品質だけでなくコスト管理が重要になると述べ、企業ごとの利用特性や要望に応じたAIによるマネージドサービスを2026年度に提供予定であることを明らかにした。
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