飛島建設は、市販のセンサーの活用により、建設機械の稼働状況をリアルタイムに可視化し、高精度でCO2排出量を算定するシステムを開発した。
飛島建設は2025年8月27日、市販のセンサーの活用により、建設機械の稼働状況をリアルタイムに可視化し、高精度でCO2排出量を算定するシステムを開発したと発表した。
同システムは、振動センサー、クラウドサーバ、Webアプリで構成されている。センサーが稼働状況を感知し、クラウドに送信されたデータに基づき、WebアプリでCO2排出量をリアルタイムに算出、可視化できる。建設機械の情報は型式別の「排出原単位」に基づいており、定量的な排出量算定が可能となる。
Webアプリは、「ホーム」「機器一覧」「重機一覧」などの画面があり、稼働状況は日単位、月単位で切り替えられる。視覚的に理解しやすいようにカラーバー形式としており、1時間毎または1日毎の稼働率の状況が色で判断できる。これにより、作業のピーク時間や未稼働時間の把握が容易にできる。
「機器一覧」画面では、振動センサーのシリアルナンバーだけでなく、どの建設現場、建設機械に各機器がひも付いているかを表示できる。バッテリー残量も一目で分かるため、現場でのメンテナンス管理にも寄与する。また、「重機一覧」画面では、登録された建設機械の型式毎に設定された排出原単位(CO2排出量の基準値)を一覧表示で確認できる。
今回開発したシステムは、既に4カ所の建設現場で実証試験を行っており、2カ所の建設現場では自動的に日次の稼働データを収集する本格運用を実施した。稼働データは帳票として出力できることから、これまで手作業であった稼働時間の記録が必要なくなり、入力ミスの削減や作業時間の大幅な短縮を可能にした。
今後は、同システムを活用する建設現場を段階的に拡大し、実データを基にScope1(燃料燃焼による直接排出)の低減計画を策定する。さらに将来的には、温室効果ガス排出量を総合的に管理する外部サービスとの協業も検討している。Scope1(直接排出)、Scope2(電力などの間接排出)、Scope3(サプライチェーン全体の排出)までを対象とした包括的な管理プラットフォームへのデータ出力も視野に入れる。
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