サントリーは原料ハンドリングの自動化に向けて、具体的に4つの技術開発に取り組んでいる。
1つ目は、ロボットによる自動判断だ。多様な原料を扱っているため、原料が変わるたびに設定変更や調整を行うと現場の大きな負担になる。そのため、ロボットが原料の形状から、どこを持つのか、どのように切るのかといった判断を自動でできるようにする。
2つ目は、品質保証の仕組みの進化。AIによる画像解析で通常と異なる状態を検知したり、新しいセンシング技術によって不良品を見つけたりできるようにする。
3つ目は、デジタルツインだ。リアルな生産にひもづいたデータを収集/解析することで、変化点の管理や生産性の改善に活用する。さらにデジタル上のシミュレーションを行い、最適な運転条件への変更も容易にする。
4つ目は、自動搬送技術の連携となる。AGV(無人搬送車)や自動フォークリフトなどの自動搬送技術とロボットを組み合わせ、連携させることで設備構成をシンプルにし、他工場への展開も容易になる。
これらの技術は大阪工場の新しいスピリッツ・リキュール工房にも積極的に導入された。
サントリー 大阪工場 工務部門 設備グループの高橋大輔氏は、大阪工場での原料ハンドリング自動化の背景について、「今後、生産量が増え続けると、現場での作業にかかる時間が増え、製品、品質の追求に十分な時間がかけられなくなる可能性があった。そこで、新たなスピリッツ・リキュール工房では目指す姿として、生産現場が重筋かつ単純な現場作業から解放され、美味品質追求のための開発者との連携が深まっている姿を設定し、非常に負荷が大きい原料取り扱い作業の自動化技術開発を取り入れることになった」と述べる。
スピリッツ・リキュール工房では各工程にロボットやAGVが導入された。使用する原料は上位のシステムからの指示で原料倉庫から自動的に出荷され、AGVで搬送される。AGVの搬送先には、パレットから原料を荷下ろしするロボットが待ち構えており、ここで搬送用のコンベヤーに移載される。一部の冷凍原料は高周波解凍機で梱包から取り出せる状態まで解凍する。
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