MMSシリーズの測定原理は、産業技術総合研究所が開発した「電磁波を用いたセンシング技術」をベースとしている。この技術は、電磁波を用いて米などの農産物の水分量を非破壊で計測できる。電磁波の振幅と位相の変化から、大量の農産物の水分量を短時間で簡便に測定可能な他、包装や箱詰めされた状態でも測れるため、生産現場における選別や品質管理を容易にする。
一方、製品化するためには、センシングシステムの高性能化による精度の向上や、食品形状や生産ラインの要求に応じた製品開発と性能実証が求められていた。「この技術で利用している電磁波はマイクロ波であるため、ノイズを受けやすいという課題もあった」(吉岡氏)。これらの課題を解消した電磁波測定技術を、MMSシリーズに実装した。
MMSシリーズの測定手順は以下の通りだ。まず、水分率既知の被測定物を準備する。次に、水分率が異なる既知の被測定物をMMSシリーズで計測し、検量線を作る。続いて、作成した検量線に基づき、インライン測定を行い、水分率を測定する。
測定例を挙げると、MMSシリーズの反射方式により、水分率が既知のパックご飯サンプル3つを搬送しながら動的計測を行い、静止計測値との差分を比較した。その結果、静止測定値との誤差±0.5%以内の精度で測れた。
食品製造工程におけるインライン水分率モニター用途としては、水分量に応じたレシピ選択、焙煎/乾燥時のエンドポイント検出、生地の水分管理、炉温度のフィードバック/アクティブ制御、完成品の検査などが挙げられる。「MMSシリーズを活用することで、連続生産におけるリアルタイム測定が可能だ。そのため、抜き取り検査の判定待ちの間に発生するNG品を減らせる。前後工程へのフィードバック/フォワードにより完全自動化ラインも実現できる。また、既存の生産ライン上に簡単に実装でき、新たな設置スペースの確保は不要だ」(吉岡氏)。
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