NTTコムとIIJ、OTシステム向けの統合セキュリティ管理ソリューションを共同開発:製造ITニュース
NTTコミュニケーションズとインターネットイニシアティブは、OTシステム向けの統合セキュリティ管理ソリューションを開発した。製造現場のサイバーリスクを低減し、事業継続に貢献する。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とインターネットイニシアティブ(IIJ)は2025年6月5日、工場やプラントの設備を管理するOT(Operational Technology)システム向けの統合セキュリティ管理ソリューションを開発したと発表した。NTT Comが同年9月1日から国内販売を開始し、2026年をめどに両社でASEAN地域にも提供する。
開発したソリューションは、NTT Comのネットワーク可視化技術を基にした侵入検知システム「OsecT(オーセクト)」と、IIJのセキュアリモートアクセスソリューション「IIJ Safous(セーファス)」を組み合わせたものだ。製造現場のサイバーリスクを低減し、事業継続に貢献する。
同ソリューションの提供の流れは、以下の通りだ。まず、専用機器を顧客のOT環境に設置する。リモートで接続するユーザーは、Safousを経由して制御装置などへセキュアにアクセスできるようになる。アクセス権限の詳細設定や共通パスワードの秘匿、アクセス承認管理、操作履歴の録画保存などの機能を備える。
また、OsecTのリモートセンサー機能を使い、制御装置などのミラートラフィックからセンサーデータを抽出。侵入検知システムで可視化することで、新規端末への接続、新規通信、不正な通信パターンなどのセキュリティ脅威も検知できる。
さらに、両社がこれまで培った技術を生かし、独自開発したOsecTとSafousを同一システムに実装するため、海外のセキュリティ製品を個別に導入するよりも低価格で利用できる。
ソリューションのイメージ図[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ
製造業では、工場のセキュリティ対策が重要な課題となっているが、多くの企業で資産管理や異常検知などネットワークの可視化が不十分な状況だ。また、リモートアクセスを利用して設備を管理するケースでは、セキュリティへの配慮が不足していることが多い。こうした状況を改善するため、両社はOTシステム向けセキュリティ管理ソリューションを開発した。
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