パナソニック エレクトリックワークス社は、製造組み立て現場向けのツールとして、協働ロボットに対応したインパクトレンチ「ロボテックインパクト」を出展した。従来、締結作業は熟練作業者の“手の感覚”に頼る部分が大きく、標準化や脱属人化が課題とされてきた。同社の新製品は、ロボットの先端に装着し、狙いのトルクを設定してボルトを自動締結することが可能だ。
最大の特長は、締結データのリアルタイム収集と蓄積が可能な点。無線受信機を通じて作業履歴を記録できるため、後工程での不具合原因の追跡や、製造ロスの改善に役立つ。なお金属打撃式にもかかわらず、トレーサビリティーを確保できるのは世界初だという。
また電動式なので、エア工具に比べて消費電力やCO2排出量を削減できるという。現在は自動車ユニット工場のサブラインなどへの導入が進行中で、今後もユーザーからのフィードバックを反映しながら改良が重ねられていく予定だ。
「目に見えない“締結の質”を見える化することで、製造現場の信頼性向上に貢献したい」とパナソニック エレクトリックワークス社の担当者は語った。
オムロンは、定型業務の自動化を支援するソリューション「pengu(ペング)」を紹介した。製造現場ではいまだに紙やExcelによる手作業が多く、人手不足や生産性低下の原因になっている。同社はこうした課題に対し、誰でも扱えるノーコードツールで業務のIT化を促進する。
penguは、PC操作を自動で行うRPA(ロボティックプロセスオートメーション)、手書きも高精度で読み取るOCR(光学文字認識)、Excel処理を簡単に実装できるETL(データの抽出、変換、ロード)の3ツールを統合。業務に応じて柔軟に組み合わせることで、紙の帳票転記からデータ入力まで幅広く対応可能だ。
導入時には、利用者が自ら自動化できるようサポートする「my coach」プログラムを提供。ITスキルに不安のある担当者でも、ツール活用を自走できる設計となっている。もともと社内の課題を解決するために開発された背景もあり、実効性の高さが特長だ。
penguの導入によって業務改革を実現したグループ会社が、熊本県内企業などのデジタルトランスフォーメーション(DX)で成果を上げている企業を表彰する「くまもとDXアワード」 を受賞するなど、外販後も着実に成果を上げている。
中小製造業向けの生産管理システムを手掛けるテクノアは、図面検索業務の効率化を支援する「AI類似図面検索」ソリューションを紹介した。部品加工業をはじめとする製造業では、見積もり作成時に過去の類似図面を探す作業が属人的で、非効率な業務として長年の課題となっている。
このツールは、過去の図面データをAI(人工知能)が学習し、新たに受け取った図面と形状が似た図面を自動で抽出するもの。検索結果はAIが類似度を判定し「85%一致」など参考数値を表示する。図面内のテキストやメモ情報から条件指定による絞り込みも可能だ。企業ごとの専用AIモデルを構築するため、検索精度も高い。
操作はドラッグ&ドロップのみで、ベテランでも新人でも同じ結果が得られる。属人化の解消に加え、見積もり作成のスピードアップとデータの一元管理を実現する。さらに、同社の生産管理システムと連携すれば、図面ごとの原価や過去の価格情報も自動で表示され、見積精度の向上にも寄与する。
オンプレミスで提供しているため、クラウド非対応の企業でも導入が可能。現場の実情に即した柔軟な導入形態で、実績を伸ばしている。
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