車載用半導体にどのように取り組むのか。東芝デバイス&ストレージが説明会を開き、戦略を紹介した。
カーボンニュートラルの実現に向けてパワートレインの電動化が進むだけでなく、高機能な電装部品が増加し、大小さまざまなモーターが自動車に搭載されている。モーターを制御するICや、低電圧から高電圧まで対応するパワー半導体が不可欠だ。モーターで動かす1つ1つの部品は、E/E(電気電子)アーキテクチャの進化とも無関係ではない。
このような市場環境で車載用半導体にどのように取り組むのか。東芝デバイス&ストレージ(以下東芝)が2025年3月10日に説明会を開き、戦略を紹介した。
カーボンニュートラルの実現に向けて(1)デジタル技術の活用におけるエネルギー利用の効率化、(2)再生可能エネルギーの利用拡大、(3)非電力部門の電化などが国内外で進められている。自動車の電動化も非電力部門の電化の一例だ。
東芝はこれら3つの要求に向けてパワー半導体をはじめとするデバイスを展開し、研究開発費や設備に積極的に投資していく。
具体的には、フォトカプラやダイオード、トランジスタ、アナログ半導体、マイコンといった基盤事業を拡大/強化して得た収益を、東芝が強みを発揮できるGaN(窒化ガリウム)やSiC(シリコンカーバイド)、IGBT、IGBTのエミッター素子構造を工夫したIEGT、MOSFETといった成長事業と位置付けるパワー半導体への投資に充てる。
東芝としては(1)社会インフラ/産業向け、(2)車載向け、(3)データセンター/サーバ向けの3つの領域にフォーカスしている。車載向けでは、MOSFETやSiC、IGBTなどパワー半導体、モータードライバ、車載イーサネットをはじめとする車内通信IC、デジタルアイソレーター、フォトカプラなどの絶縁デバイスに注力し、インバーターやモーター制御の省電力化、高効率化に貢献することを目指している。
自動車の電動システムは、パワーウィンドウからウオーターポンプまでさまざまな部品を駆動するモーター、DC-DCコンバーター、駆動用モーターのトラクションインバーター、充電に必要なオンボードチャージャーなどがある。駆動用モーターや駆動用バッテリーは400Vや800Vの高電圧で使用するため、大容量のパワー半導体が求められる。補機用のバッテリーやモーター、ECUなどは、12Vもしくは48Vの低電圧の電源システムとなるため、小容量で低耐圧のパワー半導体が活躍する。
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