MONOist ライトハウス認定への取り組みを通して見えてくる日本企業の傾向などはありますか
角田氏 ライトハウスの認定に際しては、3年間の取り組みの結果を示さなければならない。日本企業ではPoC(概念実証)の段階でとどまることもあり、そのような長い期間で取り組みを継続したことがないケースもある。
ライトハウス認定では何か1つの取り組みではなく、一定の期間で生産性がどれだけ向上したのか、CO2排出量がどれだけ減ったのかなどを見るため、「来年ライトハウス認定を取りたい」といわれても、「今からスタートなのですぐには取れません」となる。また、ライトハウスの認定を申請しても、10分の1くらいしか認定されていない。絶対に取れるというお約束はできない。
そのため、われわれも最初に「本当にライトハウス認定が必要ですか」と尋ねる。「スマートファクトリーであればいいのではないか」「CO2の削減ができればいいのではないか」と改めて聞くと、そこは顧客の中でもさまざまな意見が出て議論になる。
目的が固まっていなかったり、経営課題と合致していなかったりすると、途中で「本当に認定が必要だったのか」となってしまう。そこは最初に、経営層の中で目線合わせをしていただくことになる。
われわれの次世代型工場の実現を支援するDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス事業では、顧客にとっての課題は何かを見つけるところからスタートする。
カーボンニュートラルへの取り組みが最初に挙がるケースもあれば、まずは工場内の機器、設備をつなげる仕組みづくりからスタートすることもある。企業や工場運営のガバナンスがテーマになることもあり、企業によって課題は異なる。ただ、カーボンニュートラルに軸足を置きたいという企業は多い。
MONOist 製造現場ではデータの利活用が課題の1つとなっています。シュナイダーが産業用データ活用基盤として提供している「CONNECT」の状況を教えてください。
角田氏 データインフラに関しては企業ごとにステージが異なる。導入していても実際には活用されていないケースもある。データはあるけどストレージがいろいろ分かれていて、どうやって統合したらいいか分からず、そもそも何のために統合するのか、どうすればアウトプットが出るのかといった点で困っているプロセス系の企業は多い。
ディスクリート系ではまだあまりつながっていなかったり、そもそもデータがなかったりするケースがある。まずつなぐ仕組みを作るのか、それともプラットフォームにまで入れるのか、もしくはカーボンニュートラルに向けたエネルギーマネジメントを先に進めたい場合もある。
CONNECTはコンサルティングサービスを手掛ける中で、顧客の課題に合致すれば、その解決の1つの手段として提案している。シュナイダーの中には、AVEVAのPI SystemやSystem platformといったソリューションもある。
データはどこに格納したいのか、クラウドか、もしくはオンプレかなど全て聞いた上で、CONNECTが当てはまるのであれば提案しており、実際に導入していただいた企業もある。
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