これまでの業務を棚卸ししてイチから見直し、直接的には競争力の源泉となっていないものは「止める」「変える」という判断が重要だ。現行業務からそぎ落としていく、のではなく、ERPが対応するシンプルな業務プロセスをベースに各社で必須の機能のみを足していくイメージである。これによって、現行業務に引きずられない新業務設計が実現可能だ。
ある企業では生産計画の変更頻度が高く、関連する各種業務の担当者が対応に追われて業務負荷が高い状態にあるという課題があった。同社は生産開始の数日前にゲートを設けて、それ以降の生産計画変更を許可しないという運用ルールを設けることで、調整業務の負荷軽減に取り組んでいる。
SAPのMRP(Material Requirements Planning、資材所要量計画)システムに合わせて、BOM(部品表)情報やリードタイムなどの設定を精緻化することでマニュアルでの購買手配業務を「止める化」し、MRPによる発注量の計算を自動化した例もある。また、グループ全体の基幹業務システム刷新というタイミングに合わせ、会社間の商流や契約形態を見直して会社間取引を自動化し、グループ全体での情報見える化を実現した例もある。
上記のように、システム導入と合わせて業務/ルールのスリム化、止める化を進めていくことも業務効率化の大きなポイントとなる。
ERPの導入と合わせてDXソリューションを活用した業務自動化(業務高度化/業務効率化)も重要である。ERPとの連携を前提としたDXソリューションも多くあり、シームレスに連携する地盤は整いつつある。
多くの企業で取り組む業務高度化の例は、以下のようなものがある。
SAPは「SAP S/4HANA」を企業のITソリューションの中核をなすデジタルコアと位置付けており、周辺系の最新DXソリューションとの組み合わせによって各社の業務高度化を後押しする。
上記のように、単にERPを導入するのでなく、「業務の標準化」「業務のスリム化/止める化」「業務の自動化」などのアプローチを考慮したプロジェクト推進が重要となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.