AIが新たなエンジニアリングを形作る、2025年に注目すべき4つのトレンドAI基礎解説(2/3 ページ)

» 2025年01月17日 08時30分 公開

トレンド3:エンジニアリングにおけるAIベースの低次元化モデルの台頭

 AI技術と計算能力の進歩により、AIベースの低次元化モデルを使用する傾向が拡大すると予想されます。これらのモデルを活用するエンジニアは、システムのパフォーマンスと信頼性、およびシステム設計とシミュレーションの効率と有効性を向上させることができます。

 この変化の主な要因は、エンジニアがますます複雑化するシステムを、高い精度とスピードを維持しながら管理する必要性にあります。従来のCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)およびCFD(数値流体力学)のモデルは正確ですが、計算量が多く、リアルタイムアプリケーションには最適ではありません。AIベースの低次元化モデルは、精度を維持しながら計算負荷を削減することでこの問題に対処します。エンジニアはこれらのモデルを使用して複雑な現象をより迅速にシミュレートし、反復と最適化を高速化できます。

 さらに、AIベースの低次元化モデルは多様なパラメーターや条件に適応できるなど汎用性が高いため、さまざまなシナリオにおける適応性の向上が期待できます。この適応性は、詳細なモデリングとシミュレーションを必要とする複雑な物理現象がエンジニアリングシステムに含まれることが多い航空宇宙、自動車、エネルギーなどの産業で特に役立ちます。

 例えば、翼やエンジンなどの航空機部品を設計してテストするエンジニアは、空気力学的特性と応力要因をより効率的にシミュレーションできるため、エンジニアは設計を迅速に反復して最適化できます。さらに、AIベースの低次元化モデルは、さまざまな飛行条件に適応でき、同じモデルを使用して複数のシナリオをテストできる多目的ツールになります。この機能により、開発プロセスが加速され、コストが削減され、最終製品の信頼性が向上します。

AIベースの低次元化モデル 低次元化モデルは、複雑なCFD/CAE/FEAモデルを簡素化し、忠実度と速度のバランスをとって効率的なエンジニアリング設計を行うことでシミュレーションを高速化する[クリックで拡大] 出所:MathWorks

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