PHEVやEV、FCV(燃料電池車)に追加コストを支払う意欲があるか尋ねると、日本のユーザーの最大45%がその意思があると回答した。30%前後の追加コストを許容するとしており、エンジン車と同等の価格でなくても市場が成長する余地があるという。アーサー・ディ・リトル・ジャパン プリンシパルの岡田雅司氏は「中国企業への依存なしに低価格EVを実現するのは難しい。低価格EVを広げるには、当面は中国への依存度を深めていくことになるだろう」とコメントした。
中国を中心にPHEVの販売が伸びている。BYDのPHEVを中心に消費者にとってコストパフォーマンスが向上しているのが背景にある。欧州でも、比較的廉価なPHEVがトレンドの1つになっている。
日米ではPHEVがカバーするのはEVでは商品性が成立しない領域であり、価格がかなり高いことがPHEV販売拡大のボトルネックになっている。「BYDは、PHEVがEVに移行するための商品であるだけでなく、日本のストロングハイブリッドへのある種の対抗策と位置付けているのではないか。日系自動車メーカーがHEVを新興国で普及させるに当たっては、中国勢のPHEVとコストで競うことになる」(岡田氏)
EVを中心に、ソフトウェアで付加価値を高めようとする自動車メーカーが増えている。岡田氏は「購入後に課金するビジネスモデルは、2030年まで成立することはほぼないとみている。ハードウェアのコストをソフトウェアの価値で補っていくのは難しい。テスラでさえ、ハードウェアでほとんど稼いでいる。ハードウェアの価値を超えてソフトウェアで収益を得る世界は相当先にならないと出てこないだろう。シャオミのような新興勢も、ハードウェアの作り込みに力を入れている」とソフトウェア中心のビジネスが確立されるまでは時間がかかるとの見方を示した。
日本でEVやPHEVを所持する人にどこで充電するかを尋ねると、「自宅」「外出先」「職場」「その他」のうち自宅が66%を占めた。外出先は16%にとどまった。
目的地までの経路上で急速充電器を選択する基準については、充電速度を挙げる人が最も多かった。日本、ノルウェー、中国、欧州、米国に共通の傾向だ。また、充電器の立地も共通して重視されている。日本のユーザーは他の国や地域と比べて利用可能な充電ポート数にこだわる傾向も示された。
100km分の急速充電で許容できる所要時間について尋ねると、日本のユーザーの80%が10分未満と回答した。欧米も日本と同様に充電スピードの速さを重視する。中国は、日本やノルウェー、欧州、米国と比べて許容できる充電時間がやや長い。
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