ベンダーのセキュリティ対策をより深く理解するために、ベンダーに確認すべき重要な質問項目を幾つかご紹介します。
サプライチェーンにおけるリスクの可視化はネットワーク全体の潜在リスクを把握し、サプライチェーンにおけるセキュリティを実現するための重要な要素です。リスク管理を効果的に行うには、全てのベンダーや下請け業者、物流パートナーのセキュリティ体制を把握し、原材料のサプライヤーから最終製品の販売業者まで、サプライチェーン全体の可視化を図る必要があります。
可視化によって、リスクに基づいたベンダーの優先順位付けが可能になり、脆弱な領域にリソースを集中して現状を改善することで、より効果的なセキュリティ対策が実施できるようになります。また、サプライチェーンの状況をリアルタイムで把握することで、リスクに対してプロアクティブに対応でき、全体として回復力のある安全なネットワークの構築が可能になります。
可視性を高めるためには、ベンダーやパートナーとの情報共有と定期的なセキュリティ評価が不可欠で、リスク状況を継続的に把握して対応する体制が求められます。
フォースパーティリスクは、サードパーティー以上にサプライチェーンの安全に影響を及ぼす可能性があります。フォースパーティベンダーは直接の取引関係がないものの、サードパーティーを通じて組織とつながり、間接的な形で重大なリスクをもたらします。現代では、企業は相互に複雑に関係しており、数度の隔たりを超えた関係の中で、企業の管理範囲外でリスクが増幅される可能性があります。
フォースパーティリスクは、特にデジタル・サプライチェーンが拡大するにつれて無視できない存在となっており、これらのベンダーを特定し、評価することが重要です。フォースパーティの特定により、組織は潜在リスクを把握し、リスクが高い領域を優先的に管理、対策することで、全体のリスク体制を強化できます。このように、フォースパーティリスクへの対応は、サプライチェーン全体の回復力を高め、安全性を確保するために不可欠な取り組みです。
次回は、製造業のサプライチェーンにおけるセキュリティ強化とインシデント対応の重要性についてご説明いたします。
橋本詩保(はしもと しほ)
SecurityScorecard
インターナショナルマーケティング担当 バイスプレジデント
2021年より現職。サイバーセキュリティやテクノロジー業界で、20年以上業務を経験。SecurityScorecard以前には、コンピュータゲーム開発企業であるRovio Entertainmentの子会社 Hatch Entertainmentで、SamsungやNTTドコモなどのパートナーと共にモバイルクラウドゲームの世界展開を主導してきた。アイデンティティアクセス管理および暗号化の世界的リーダであるSSH Communications Securityでは、世界的にマーケティングチームを率いるなど、グローバルな視点でマーケティング戦略を展開。
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