連載「設備設計現場のあるあるトラブルとその解決策」では、設備設計の現場でよくあるトラブル事例などを紹介し、その解決アプローチを解説する。連載第8回は、前回に引き続き、構想設計の段階で直面する「設備の設置スペースが足りない問題」を取り上げる。
本連載は、前回シリーズ「いまさら聞けない 製品設計と設備設計の違い」をイントロダクションと位置付け、設備設計の現場でよくあるトラブル事例などを紹介し、その解決アプローチを解説していきます。
前回お届けした【前編】に引き続き、今回も構想設計におけるあるあるトラブル「設備の設置スペースが足りない問題」を引き起こす可能性のあるケースについて、筆者の経験を踏まえて詳しく解説していきます。設備立ち上げを計画する方や、設備の構想設計を担当される方のヒントになれば幸いです。
生産設備の検討は、機械系エンジニアによる構想設計が行われた後に、電気系エンジニアが設計に入るという流れで進められます。その際によく起こるのが「制御盤の配置が検討されていない」というトラブルです。
筆者の経験上、制御盤の設計は電気系エンジニアが行うケースが多い印象です。そのため、先に設計に取り掛かっている機械系エンジニアの中には「制御盤の配置は、電気系エンジニアがいい感じに考えてくれるでしょ」といった具合に、制御盤の配置を考えていなかったり、そもそも制御盤の存在を忘れてしまったりしている人もいます。
ただ、実際に制御盤を設計してみると、“意外とスペースを占有する”ものであることが分かります。その一例として、
などが挙げられます。
これらを考慮してようやく制御盤の寸法がある程度確定するわけですが、そのタイミングで既に機械系エンジニアの詳細設計やバラシがスタートしているケースも多くみられます。
機械系エンジニアとしては「せっかく作業した詳細設計やバラシをまたやり直すなんて……」となりますし、電気系エンジニアとしては「制御盤が配置できないとそもそも話にならない!」となりますのでトラブルに発展してしまいます。特に、電気系エンジニアが設計をスタートさせる前に、電気機器の先行手配が既に進んでいる場合は非常に厄介です。
制御盤が配置される場所は、「架台下」「設備上部」「設備外部に横付け」などが一般的です。ですが、それぞれのケースで以下のような問題がよく生じます(筆者は過去に制御盤配置の問題で、構想設計やり直しになったことがあります)。
そのため、機械系エンジニアのスタンスとしては「自分の設計は終わっているから後は電気系エンジニアの責任だ」で済ますのではなく、終始円滑に電気系エンジニアとコミュニケーションを取りながら、責任をもって最後までプロジェクトを遂行する心掛けが重要となります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.