AUTOSAR Classic Platform(CP)のBasic Software(BSW)は、さまざまな自動車メーカー向けの各種ECUで使用されていますし、最近は自動車以外の用途での利用も広がっています。
当然ながら、BSWは、差異のない(あるいは、差異を意図的に持たせない)固定の要素もありますが、使用される場面によって以下の要素のように異なり得る/変わり得る部分があります(可変要素)。
それらの「差異」に対応するために、多数の「設定スイッチ」(configuration parameterやcontainer)を用意しており、その設定内容は、AUTOSARが定めるXML形式であるARXML(AUTOSAR XML)として記述されます。
その基本的な記述形式は、AUTOSAR TPS ECU Configurationという文書で規定されています。そして、RTEや各種BSWの個別のconfiguration container/parameter内容は、RTEや各種BSWの詳細を規定するAUTOSAR SWS文書の、RTEであればchap.8の「RTE ECU Configuration」、BSWであればchap.10の「Configuration specification」に定義されています。
また、固定/可変の要素とともに、BSWであれば振る舞い部分はSWS文書のchap.7の「Functional specification」と補足的にchap.9の「Sequence diagrams」、インタフェース部分はchap.8の「API specification」に記述され、公開されています※1)。
※1)これらの文書はAUTOSARでの標準化活動を経て作成され(標準化活動への参加には一定のAUTOSAR Partner資格が必要)、一般に公開されています。なお、公開されている内容であっても、商用利用には、商用利用可能なAUTOSAR Partner資格への加入が必要です。
なお、Adaptive Platform(AP)でも、章立てなどの差異はありますが、上記の範囲での基本的な考え方は同じと考えてよいでしょう。
先に「BSWやRTEの振る舞いやインタフェースは、可変の要素もあれば固定の要素もあり、それらは標準化されている」と述べましたが、さて、SW-Cではどうでしょうか?
SW-Cは、そもそも、「標準化された基本機能サービス」を提供するBSWとは異なり、標準化されていない範囲の各種アプリケーションを実現する部分です。
これらについては、以下の例のように多様な論理レベルで定義/標準化が可能ですので、少々複雑です。
いずれにしても、アプリケーションごとに定義していくのが基本ですが、ある範囲では同じ振る舞いとなる部分があるのであれば、もちろん再利用や標準化を考えるべきでしょう。
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